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第39話

 フフ……  声は小さく笑った。  フフフ……  モニターの中で、聞き慣れた声は。  どうして、そんな風に笑えるんだッ  騎士だから、そういう事には慣れているのかも知れない。騎士だから、慣れなければならないのかも知れない。 「でも、俺は!」 『何を気を荒立てているのです?ヴァイスリッター。これは戦争です』 「だからと言って!」  俺は笑えないよ。こんな苦い勝利…… 『だからルールが必要なのです』  ……クレイ? 『戦争にはルールが必要です。ルールの中で戦わなければ、非道な虐殺になります』  生身の人間がビームを受けたなら、一瞬で肉体は消滅するでしょう。 『しかし私達には身を守る鎧 ブレイヴ・デュナメスがあります。敵も同じ条件です。ノイシュヴァン対ノイシュヴァンの戦闘である以上、被害の拡大は免れませんが、鎧が身を守ります』  ねぇ、ヴァイスリッター 『騎士は主君のために命を賭けるもの。その命は主君の命令なしに捨てるものではありません』  だから安心して下さい。 『あなたの考える心配は起こっていませんよ。緊急脱出装置が作動し、パイロットは脱出しています』 「じゃあ俺は」 『はい。誰も傷つけておりません』 「良かったぁ」  安心した途端、力が抜けてしまった。ふにゃふにゃと、背中を操縦席の背もたれに預けてしまう。 『《リヒトヴァルケ》を受けたパワーズは、損傷で機動不可能になっているでしょう。作戦成功ですね』 「全部クレイのお蔭だ。なのに、俺……ごめん」 『なぜ、ライト様がお謝りに?』 「感情的になってクレイを責めて、酷い事言ってしまって……」 『いえ。ライト様』  金髪が揺れて、モニターの中で美しく微笑んだ。 『戦いの中で守らなければならない思いを呼び起こして下さいました。俺の方こそ、お礼を申し上げます』  そう言って貰えて、ほっと胸を撫で下ろした。俺はそんな立派な人間じゃないけどね。 『安心したところで、どうですか?もう一度《リヒトヴァルケ》撃ってみます?』  うっ。 「いえ、遠慮します」  クレイ、本当に根に持ってないよね? 『ご英断を感謝します。《リヒトヴァルケ》は、エナジー消費が半端ないので、もう一度となると脱出前にエナジー切れを起こすところでした』 「えええっ」 『それにチャージに時間を要しますので、暫く撃てませんよ』 「むぅ〜」 『おや、どうしましたか?ライト様。ほっぺを膨らまして』 「クレイ、俺をからかってない?」 『そんな事ありませんよ。ライト様の可愛らしいお顔を見たいだけです♪』  それ、からかってるって言うんだけど! 『おやおや、更にほっぺが膨らんでしまいました♪』 「絶対からかって喜んでる」 『はい?』 「何でもない!」

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