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第40話

『ではライト様』  新たなモニターが目の前に出現した。 『マニュアルになります。自動操縦で走行していますが、少しご自身で操縦してみましょう』  今後、どんな不測の事態が起こらないとも限らない。自分でできるようにならないと。 「分かった」 『いいお返事です』 「ところで、さっき。『ぱわーず』とか『のいしゅゔぁん』って?」  戦いの間、確かそんな言葉をクレイが言ってたような気がしたけど。 『説明不足でしたね。お耳だけ、こちらにお傾け下さい。まず《ノイシュヴァン》ですが、私達、騎士の乗り物です。ブレイヴ・デュナメスも《ノイシュヴァン》の一つです』  シュヴァンとは白鳥。  ジャンダルム皇国の国鳥です。 『『ノイ』は新しいという意味です。元々、騎士の乗り物を《シュヴァン》と呼んでいたのですが、次世代後継機の開発が進み、今の搭乗機は《ノイシュヴァン》と呼んでいます』  現在の《ノイシュヴァン》は第四世代機です。 『但し、ブレイヴ・デュナメスは、この世に一機だけ。高性能ゆえ、コストが掛かり過ぎたのが原因です。代わって生産された量産型《パワーズ》が現在の主力となっています』  シュヴァン=白鳥の白い翼になぞらえて……世代ごとに天使の階級名が付けられています。 『一つ前の第三世代が権天使《プリンシパリティーズ》、現在の使用機が力天使《パワーズ》。先刻、戦火を交えた機体ですね』 「今も開発は進んでるの」 『次世代機や《パワーズ》派生機を。しかし実用には至っていないと聞きます』  そうなんだ。 「じゃあ《デュナメス》が最高の機体だって事?」 『ええ、間違いありません。《デュナメス》はアルケーシステムで動いています。 アルケーシステムでは、貴重なアルテミス鉱石を動力源にしており、これに対し《パワーズ》はアルケーシステムを模したイデアシステムになります。動力源も人工アルテミス鉱石です。 当然、性能は《デュナメス》に劣ります。しかし量産型ですので』  デュナメスは何もかもが特別なんだ…… 「でも」  どうして? 「こんな特別な乗り物を作ったんだろう?」

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