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ch.23 (R-18)
予約の金曜日。2月に入っても、底冷えがする憂鬱な曇天が続いていた。
クリニックに着くなり、ファロンさんは「寒かったでしょう、どうぞおくつろぎになってお待ちくださいね」と熱いお茶を用意してくれていた。これまで、だいたい月1の頻度で来院していた僕が、先週に続き今週も来たことについて、彼女が驚いたり、特に何かを気にかけるような素振りはなかったことに少しほっとする。今日まで先生に会いたくて仕方なくて、毎日悶々と自慰に耽り、今日は今日で飛んでくるようにしてここに来たから、そんな浮ついたところを勘ぐらるわけにはいかないと内心ヒヤヒヤしていた。
「やぁ、いらっしゃい」
いつものように朗らかに僕を迎えた先生は、いつものようにデスクを立ち、ニコニコと僕に掛けるよう勧めて対面に座った。
たった数日会わなかっただけなのに、久しぶりに感じる彼は、今日はグレイのシャツに黒のニットベスト姿で、紺のタータンチェックのスラックスは初めて見たけど、やっぱりおしゃれで素敵だった。
「先週ぶり?珍しいね、今日はどうしたの?何かあった…?」
さっそく、少し険しい顔で伺う先生は100パーセント僕の主治医で、彼と僕の“関係”なんてまるで知らない人のように見える。
そして僕は、ただ彼に会いたかっただけだから、焦った。
「いえ、あのっ…大丈夫ですっーーー」
その時、ファロンさんが入ってきて、僕は口を閉じた。
テーブルにお茶を並べた彼女に「ありがとう」と軽く微笑んだ先生を見て、なんだか胸がモヤモヤする。彼女が退室してから、口を開いた。
「…大丈夫って言ったけど、そうじゃない…かも、ごめんなさい、よくわかりませんーーー」
「謝らないで、落ち着いて、話してくれる?」
僕を覗く瞳に、心配な色が浮かんだ。
「その…聞きたいことがあって…」
「なんだい?」
「…男の人が…」
「うん」
「女の人の中で射精したら、精液はどこにいくんですか…?」
「あぁ、子宮に吸収されるよ」
真面目な顔で、まるで他人事みたいに答えた彼に驚いてしまった。あくまでもここでは、僕らは主治医と患者っていうことなんだろうか。突き放されたみたいな感じがして、悲しくなる。
「…そう、なんですか…」
「とはいえ、たくさんあれば排出もされるよ、だいたいセックスの1時間後くらいまでには」
「…そうなんですね…」
「何か、心配なことでも…?」
「いえ…少し不安になっただけだからーーー」
「そうか、…他には何か、ある?」
視線を手元のマグに落として、首を横に振った。
「不安なら、検査しようか?」
「そんなんじゃ…違うんです、そのーーー」
顔を上げると、先生はニコニコして、「準備するから、検査室に行ってて」とお茶を飲んだ。
検査室に入って待っていると、しばらくして先生が入ってきた。前回みたいにファロンさんが来ると思っていた僕は、面食らった。けれど、「下脱いで、あれに座ってくれる?」と指示された通り、下を脱いで検診台に座った。
「じゃ、倒すよ」と台が上がり始め、背もたれが倒れ、脚が開かれていく。普段ならかけられるはずの腰のカーテンがされないままだから、僕は焦った。
「…あの、先生っ、カーテンは…?」
検診台が倒れきり、先生に脚の間を突き出した格好になった僕は、彼を見るわけにもいかなくて目を閉じた。カーテンひとつないだけで、百倍も千倍も恥ずかしく感じられて、どうしてと混乱する思考が止まる。
「うん」
先生の指が、僕のそこを左右に大きく開いたのを感じて心臓が跳ね上がった。
ゴム手袋は、つけていない。
「…っ!?」
「先週、検査した時…」
静かな声と吐息を尻の肉に感じて、腰が強張った。
「君のカラダは、半年前と違ってた…」
「…え?」
そこをじっくりとなぞる視線を感じて、脚を閉じたい腿が強張った。
「前日とか前々日とかかなり近い日に…性的興奮を得てた、形跡があった」
「っ!?」
「だから、君が片想いしてた彼としたか…オナニーをしてたか、どちらかだと思った」
「…っ」
「でも、その彼と進展がないなら…オナニーしかない」
はぁとそこを熱い吐息が撫でて、僕もため息が漏れてしまう。
「…先生…っ」
「うん?」
「あのっ、検査はーーー」
「検査なのに…」
むずむずと熱いものが滲むそこを、更に大きく割り広げられた。
「…愛液が出てきたよ、ウィル」
膣口を撫でた指が、愛液を塗り広げながらそこを擦った。
「アっ」
「すごくかわいい」
するすると指が挿し込まれる感触に、尻が浮いてしまう。
「あッ!」
「いけないよ、ファロンさんに聞こえちゃう…」
慌てて口を押さえると、挿し込まれた指が静かにピストンを始めた。10度僕の中を探り、翻った指が、薬指も添えて僕の中に潜り込む。
「ふ…!」
「ああ、すごい、熱い…」
「ン………う…ッ……ン…」
ねじ込まれる指が僕を拡げ、ゴリゴリと中を擦る節の快感に腰が浮く。とっくに屹立していたペニスから、腹へと熱い先走りが垂れた。
「きみのえっちなびらびら、膨らんでてほんと好き…」
僕を掻くストロークが大きくなり、渦巻く熱が加速していく。
静かな部屋に、僕の噛み殺した喘ぎと、彼の昂る吐息と、僕のそこが悦ぶ濡れた音が響いている。ファロンさんに聞こえなくても、突然踏み込まれたら…そう思うと恐ろしいのに、体は待ちわびていた快感に素直に悦んでいた。
これ以上されたら、もう。
「…ッ、せっ、せんせ…ッ!」
「…ほしい…?」
「せんせっ、もっ、だっめーーー」
「ああ、きもちいのがわかるよーーー」
「で、でちゃうっ…」
「まだだよ…」
唐突に指が抜かれ、極まりかけた腰がもどかしくて苦しい。間髪入れず、クリが温かな粘膜に吸い込まれた衝撃にのけぞった。
「ンっ…あ゛あ゛あ゛ッ!」
声を上げてしまった僕を戒めるように、強く舐り、じゅうと音を立てて吸い付かれる。言葉にできない快感に脳みそが崩れて、上げた腰を先生の口に押し付ける。
「せんせ、せんせえっ、きもちいッ…!」
クリと小陰唇をもぐもぐと食む唇が、「静かにしなさい」と動いた気がするけど、そんなこと、もう、どうでもいい。
「せんせえ、せんせえ、おちんちんいれて、おちんちんできもちよくして…っ」
そこから4度、強く吸われて昇りつめた僕は、突き上げた腰の真ん中からいやらしい体液をぼたぼた吹き零していた。
先生が髪に触れるのを感じて、目を開けた。
「ウィル…?」
僕の目尻の涙を拭った彼は、嬉しそうに僕を覗き込んでいる。
「せんせ…」
背中に腕を回して引き寄せる。
「…キスして、せんせえ…」
「うん」と笑った唇を唇で呼んで、重なる前に舌を差し出した。伸ばした舌で探り合い、粘膜を吸い合わせて、焦れる想いを伝えていたら、胸がいっぱいになって涙が出てきた。
「…どうしたの」
「あいたかった…っ」
「僕も」
キスをしたくても、額を額で押し返されて唇が届かない。
「せんせ、エッチしてーーー」
「ここじゃだめ」
「べっど?」
「あっち」
検診台を元の姿勢に戻した先生は、ふらつく僕の腰を抱えながら、ゆっくり診察へと僕の手を引いた。
緩んだ頭で、本当は、抱きかかえるとか、お姫様抱っこでもしたかったんだろうけど、彼はパワータイプじゃないからなんて考えていると、先生のデスクに座らされていた。
何度も顔の角度を変えて口づけを深めながら、荒っぽく脱がされていく。
先生が、検査室の検診台や、2階の休憩室の寝台や、ここのソファを避けたのは、“患者と関係を持たない”ルールを意識しているのかもしれないと思いながら、彼の股間を探る。スラックスと下着の奥から引っ張り出したペニスは熱く、硬くそそり立っていて、そんなルール、僕の前では無意味なのにと思いながらデスクを下りた。
「すわって、あれっく…」
彼の胸を押し、肘掛けのついた革張りの椅子、先生がいつも仕事をしているそこに座らせる。脚の間に跪いて見上げると、息を荒げた彼が微笑んだ。
「ウィル、無理はしなくていい…」
「ぼくは、やられっぱなしだから、あれっくにもよろこんでほしい…」
目の前で、屹立したペニスに浮いた血管がぴくぴくと脈打っている。竿を両手で手繰り、滑らかな先端をぐるりと一周キスで愛でた。先走りが滲む亀頭を舌で迎え、ゆっくりと口に含んでいくと、先生の腿が強張り、一回り膨らんだペニスが僕の口の奥を突いた。
「きもちいよ、ウィル…」
髪に潜った指に、優しく愛撫される頭皮が気持ちいい。咥えた亀頭から、するすると体液がこぼれ出す。口を浸すそれを喉に流せば、飲み込む圧が彼を絞り、後から後から先走りが溢れ出る。初めて味わうそれはしょっぱく、少しだけおしっこの匂いがする。以前ならこんなことは無縁だったのに、今じゃ喜んでしゃぶりながらプッシーを濡らしてる僕は、まるで変わってしまったんだと痛感する。
「…ウィル、君もおちんちんでオナって」
僕をうっとりと見下ろす視線に、強く促される。自分のペニスをしごきながら、頭を前後して、すぼめた口の中で彼をしごき続ける。亀頭を強く吸い、張り出たカリと竿の段差に舌を埋め、くすぐって、またカリを吸う。
「ウィル、すごく上手だね…」
一緒に気持ちよくなっていると思えば、淫らな気持ちに拍車がかかる。
手の中の僕のペニスが嬉々として膨らみ、だらだらと先走りを垂らし始める。爆発的に高まる快感に息が上がり、唾液を絡めてペニスを貪った。
「ウィル…っ」
僕の頭を引き剥がした先生は、抱え起こした僕をデスクに座らせて、息をつく間もなく僕のそこにペニスを突き立てた。
「あ゛……っう……っ…んーーー」
初めてした時ほどじゃなかったけど、やっぱり拡げられるのは痛かった。
呻く僕の唇を塞ぎながら、先生は小刻みに腰を上下している。
「痛い…?」
「くるし、よ…」
「ん」
もつれあう糸みたいなキスの合間に、交わす言葉と吐息が熱い。やがて、ずるずるとGスポットを擦られる快感が痛みを上回り、腰の底が煮え始めて、汗ばむ体で彼にしがみついた。
「とろとろになってきた…」
「きもち、いっ、あれっく…」
「吹いとく…?」
「ん、やーーー」
そこをほじる腰が早まり、確実に追い詰められていく。デスクにかけて逃げることも振ることもできない腰に、弄ぶように快感をねじ込まれる。
「だめ、ダめ、ぁ、あれっく、でちゃ、うっ、やめ、ああっ、でるからっ……」
ニットの肩を押し返しても、腰を強く抱かれて体を離せない。
「ンッ、あああっ………!」
腰が弾けた瞬間、繋がったあたりからぷしゅっと音がして、勢いよく吹き出した体液が先生のニットを濡らしていた。
「ああッ!」
ふいに、昂奮と罪悪感で沸騰した頭がぐるりと回り、気がつくとデスクの上に押し倒されていた。覆い被さった先生が大きく腰を回し始めて、僕は、カラダの深くを抉られる悦びに吠えてしまう。
「ああっ、あれっく、あ、ああ、あ、っ、いいっ…」
「ウィル、僕のウィル…」
大きく深いストロークで突かれるカラダの奥で、少しずつ得も言われぬ快感がうねり始める。
「あ…あ…あ…ア…あ…ア…」
「奥が、柔らかくなってきた…」
僕の口元で、高揚に震える吐息が小さく笑う。
「ウィル、愛してるよ…」
大きく腰が引かれ、一気に真奥まで貫かれたその激しい快感は、僕の体を駆け抜けて脳天までぶち抜いた。
「あ、は、あ、ア、あ、あ、ア…」
力尽きた僕を強く抱きながら、先生は、ゆっくりと、強く早く、優しく、深く、緩やかに、浅く、気まぐれにペニスを遊ばせている。
ペニスを沈めきり、先端を真奥に押し付けるように突かれるたびに、体が天に吸い上げられるような快楽に飲まれていく。
「君の中がすがりついてる…」
僕を出入りするペニスは白いべとべとがこびりついて、ねちねちといやらしく僕らを繋いでいた。
「しがみついて、離してくれない…」
何度も何度も天に導かれて、甘いエクスタシーに痺れた頭じゃ、彼が何を言ってるのかわからない。
「あ、あ、あれっく、おかしく、なっちゃう…」
「かわいいウィル、僕のウィル…」
僕の涙を啜りながら、先生が遊ばせている腰を早めていく。僕の真ん中を目指して、まっすぐ切実なピストンを繰り返すペニスが、硬さを増して膨らんでいく。
「……あれっく」
彼を呼ぶ唇は塞がれて、伸ばした手に手を重ねられて握り合う。目を閉じて、彼とひとつに溶けていく幸せに体を委ねる。
「あ゛っ、ああ゛っ!」「あっ、ア、アうん、ア……」
僕の深くで強く跳ねて、びくびくと脈打つ彼の衝動を抱いて、僕もこれまでにない絶頂に昇りつめた。
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