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ch.27 (R-18)
2日後の金曜日。3週連続で現れた僕に対して、ファロンさんは何も怪しむような素振りはなく、いつもと変わらずニコニコと親切に接してくれた。ただでさえ、先週は行為をしているから、何か勘づかれていたりしたらよそよそしくするだろうけど、それもなさそうでホッとした。
いつものように診察室に呼ばれて入ると、「やぁ」と朗らかに僕を出迎えた先生の様子も変わらなかった。
今日の先生は、いつか着ていた飴色のカーディガンに薄いピンクのシャツ、紺色のスラックス姿だった。程よくカジュアルだけどスマートな佇まいは、とても僕のオナニーを聞きながらオナってる人には見えない。
そして、お茶を用意してくれたファロンさんが出て行ったのを見計らって、僕は口を開いた。
「…ファロンさん、大丈夫かな?」
「何が?」
「僕、最近来すぎてて、変に思われてもおかしくないから…」
「うん」とマグを持った先生が立ち上がり、僕の横に座った。
「彼女にはちゃんと言ってある」
「?」
「『彼は少しだけ心に問題を抱えてるから、しばらく来るかも』って」
先生は、真面目くさった顔で僕の目を覗いた。
「なんかそれ、酷い」
「あながち間違ってない」と、わざとらしく眉を上げる彼がちょっとムカつく。
「じゃあ先生…」
「ん?」
「治してよ…」
返事の代わりに大きく微笑んだ先生の首に手を回して、僕らは1週間分の欲情を込めた濃密なキスを貪り合った。
15分か、20分か、たっぷり時間をかけたキスのご褒美だけで、僕の体は熱を帯びて、先生を待ち侘びていた。
「あれっく…」
「ウィル」
唇を結び直す束の間、名前を囁くだけで体は火照りを増して、乱れていく吐息は昂奮で震えていた。
キスを重ねているうちに、彼の腿にまたがって向かい合う格好に促され、体を擦り付けるように抱き締め合って、またキスをする。いつの間にか、ジャケットを脱がされ、はだけられたシャツの胸を大きな手のひらが這った。
「あれっく…っ」
「…ウィルっ」
胸を撫で回され、胸に滑った唇が乳首を吸い取る感触に喘ぎながら、それぞれの股間を探り、手探りでベルトを外し、開いた前からペニスを引っ張り出す。そして、彼と僕の竿をまとめて握って、男同士の快楽を試してみる。ふたりの先走りで濡らした手の中で、凸凹で擦り合い、突き合わせた亀頭を押し揉んで、濡れた鈴口でキスをする。
「…アッ…あ、あれっくっ」
「ウィル…っ」
夢中で振っていた腰から、乱暴にズボンと下着をまとめて剥ぎ取られる。
彼は僕の背を抱き、カエルみたいにしゃがんだ僕の内腿をじっとりと撫でて、「オナニーして」と薄く笑う。
「…あれっく、みて…」
彼の目を見つめながら、握った彼のペニスの先で突き出した腰のクリを探る。
「ンっ……あっ…」
ぬるりと滑らかな亀頭が擦れる快感も、たまらなく気持ちいい。夢中で腰を揺らし、クリを擦り付けていると、彼は時々腰を小さく上げて、僕のクリを潰すように突いた。
「あっ…くっ、きもち、いいよぉ…」
「ウィル、君のびらびら、めくれあがって吸い付いてる…」
「…あれっくの、えっち………」
喘ぐ口元を彼が伺い、唇を差し出しても、意地悪な彼は顎を引いて僕を焦らす。
舌を伸ばしてねだると、ようやく彼も舌を伸ばして、唇が触れるギリギリのところで絡めた舌で「ほしい」と訴えた。
彼は僕のペニスを優しくしごきながら、クリを小刻みに突き始める。
手に負えない快感に耐えかねて、腰を前後に揺らして、彼の先端を膣口とクリに往復させた。
「あ、は、あ、ア、あれっ…ア、おちんちんで…きもちよく、して…っ」
「…自分で挿れて、気持ちよくなって」
僕の唇をのらくらとかわしながら、彼は幸せそうに笑っている。
そして僕は、彼の手のひらの上で意のままに転がされながら、まるで罠にかけられたように、深い快楽の扉の先を知っていく。
彼の先を膣口にあてがい、静かに息を飲む。角度を探りながら、鬼頭をはめ込むように腰をゆっくり押し当ててみた時、彼が大きく腰を突き上げて、硬く猛ったペニスが打ち込まれた。
「!?…ぅっ…ぐっ、おっ…っ、あっ、アっ、あっ…」
彼が僕の中で3度上下すると、窮屈な痛みが失せてみるみる熱に昇華した。もう3度擦れ合うと、快感が燃え上がる炎みたいに全身に広がった。
「ンっ、ああっ、っいいっ………う、あっ、あっ、アっ…あっ!」
「わかる…?」
ゆったり腰を上下させながら、彼が囁く。
「…君と僕が、馴染んできてる」
彼は笑って、摘んだ胸の先を捻った。
「ア…っ」
「…自分できもちいトコロ、探して」
彼の腰が止まり、そっけなく突き放される。
背もたれにふてぶてしくもたれ、僕を見上げる彼を見つめながら、僕はゆっくり腰を上げる。
「…おいで」
彼の腰に腰を沈めていく快感に、背筋が震え上がる。
「ンあっ…」
ふらつく腕を掴まれて、彼に強く繋がれる。
僕はまた腰を浮かせて、彼の出っ張りが僕と噛み合うトコロを探り続ける。
「あ…アア…あれっ………あ…」
ぐりぐりとぶつかり合う粘膜が熱を増して、蝋みたいに熔けた時、僕は、何も考えられなくなった。
「アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ…」
彼にしがみついた僕は、猿のように腰を振り、彼のペニスを使って快感を貪り続けている。浅く、深く、腰を回しながら強く、弱く、早く、もっと早く、下品な“スクワット”がやめられない。奥の奥の、自分では届かないトコロに彼をはめて、体重をかけて擦りつければ、好きなだけイくことができた。
「ウィル…かわいいよ」
僕を抱き、胸に口付けを落とす彼の顔を掴んで、無理矢理キスをねじ込んだ。彼にいなされた舌はふしだらに絡め取られて、フェラするみたいに舐られる。
「ンあ…っ」
唇の端からこぼれた唾液を、彼がうっとりと啜る。そして彼は僕の腰を掴むと、ゆっくりと腰を回し始めた。
「…ああッ!」
腰を混ぜながらクリとペニスを擦り付ければ、あっという間に腰の底が煮え滾った。僕を突き上げる彼に腰を振って、真奥で交わる快感を絞り上げる。
「あれっく、あれっく、きもちいっ…!」
「…ウィルっ」
「あ、あ、あ、も、も…い、く…っ」
目も眩むようなエクスタシーに崩れ落ちて、ぐるぐると堕ちていく。一瞬、何が起きたのかわからない。
「………っ」
我に返ると、テーブルの上に寝かされ、彼にしがみついている。僕の腰を、愛する男のペニスが高くから深くへ、まっすぐピストンを繰り返している。そして僕はまた、目が眩むほどの甘い衝動を、彼と一緒に追いかける。
「あれっく、あれっくっ…」
彼の腰に脚をかけて、もっと深くに誘い込む。涙でぼやけた視界に見上げる彼は、食いしばった歯をぎしぎし言わせている。
「あ、あ、あれっく…っ、もおっ…、ぼくっ、こわれちゃう…っ」
「…いっしょに…」
彼は肩で喘ぎ、僕の手に手を重ねて握り合う。息を奪い合うようなキスをして、熟れて爛れていくカラダを狂ったようになすり合った。
初めての時みたいに、彼と繋がったまま抱き合って、先週みたいにソファでブランケットに包まれていた。寄せ合った唇で、互いのバラけた吐息が少しずつ落ち着いていくのを聞いている。まだ時々、僕のそこが締まると、彼は悩ましい息を吐(つ)いて、僕のこめかみや額や鼻先にキスを落とした。
恍惚に霞んだ頭で、ファックは最高に気持ちいいけど、こうして絶頂の波が引いていく柔らかな時間の方が幸せだと思う。
「……あれっく」
「…愛してる」
そっと微笑んだ彼が、僕の頬を両手で包み、優しいキスをくれる。まだハァハァしてるのに。今日の彼は、ほんの少し、何かが違う気がした。
「……あれっく?」
「…うん…」
僕を強く抱いた腕が、背中や尻を優しく慰撫している。
こんなにのんびりしてていいのかなと思った時、ようやくあぁと気がついた。
「……あれっくも、さびしかった?」
「すごく」
まだ熱を帯びている体は、汗ばんだ肌が密着して気持ちいい。そして、暖め合う体で分け合う温もり以上に、安らぎを感じられるものはないと思った。
「…あれっく…ぼく、しあわせ」
「僕も…すごく幸せ」
「…ほんと…?」
「ほんとに」
「…ずっと…こうしてたい…」
「僕も…」
「…おなか、すいた」
「…飯でも軽く食べてくか…少し寝るか、どっちがいい?」
「…このまま」
「うん」
目を閉じて、額をくすぐる彼の吐息を聞いて、彼の体温や筋骨の凹凸や穏やかな鼓動を手のひらで確かめているうちに、僕は眠ってしまった。
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