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ch.37 (R-18)

その後僕らは、縺れ合ったまま寝てしまったみたいだった。 起きたら正午を過ぎていて、布団の中でダラダラじゃれ合って、結局ベッドを出る気になるまで1時間くらい愛撫を交わしていた。 そして僕は、いざ起きようとすると、体が怠くて動く気になれなかった。3週間前もそうだったように、頭はぼーっとフワフワして、股関節が痛く、プッシーは熱を持ったまま痺れているような違和感がある。 「…アレック、動きたくない」 布団を被ってもぞもぞしている僕を、彼は先生の顔になって覗いた。 「どうした?」 「…怠くてぼーっとする、股関節痛いし、あそこはじんじんしてる…」 「どう…」 先生は僕の額や頬に手を当て、熱がないことを確かめるとホッとして彼の顔に戻った。 「やり過ぎだ、疲れてるだけ」 「…誰のせい?」 恨めしく彼を睨むと、彼は僕の額にキスをして、「軽くメシ用意するからゆっくりしてて」と部屋を出て行った。 またしばらく、うとうとしていると、先生が「お待たせ」とトレイを持って戻った。 体を起こすと、腿の上に置かれたトレイには、トーストと卵焼き、ベーコン、ビーンズの簡単なブレックファストと、昨夜の残り物のローストやムニエルなんかを温めた物と、オレンジジュースとミルクが乗っている。 ベッドに掛けた先生は、部屋着らしい少しくたびれたカットソーと、パジャマらしいスウェット姿になっていた。これまでで最も気取らず、ちょっとだらしないくらいの格好をしている彼に、やっぱりこんな面もあるんだと思うと嬉しくなる。 そして、「食べれる?」と僕を覗く顔は優しい保護者で、ほんの数時間前に僕を辱めていた人とは思えない。 「うん…ありがとう、嬉しい」 「まだ怠い?」 「少し」 「食べれるだけでいいよ」 「…アレックって、ほんと保護者だねーーー」 「君はもう子供じゃないから、保護者のつもりなんてない」 目を丸くした彼は、「これくらい当たり前」と笑った。 「……そっか、アレックは食べた?」 「さっきちょっとつまんだ」 そう言って彼は、僕のトレイからローストをつまんだ。そして僕が食べている側で、コーヒーを飲みながらスマホを見たり、計画しているという部屋の模様替えの概要とか、車を点検に出さなきゃいけないとか、今夜は学会に提出する論文を少し進めなきゃいけないとか、そんな話をしていた。 簡単な朝食を済ませた後、僕らは一緒にシャワーを浴びた。別に一緒に浴びるつもりはなかったのに、浴室に入ったら彼もついてきたから、結果的にそうなった。 シャワーに打たれれば、そんな気はなくても抱き合ってキスをしてしまうのは当然の流れだと思う。彼の首に腕を回しながら、隙あればベタベタするなんて、いかにも付き合いたてのカップルだと思いながらも、こんなに長い間一緒に過ごせる機会はないと思えば無駄にはできない。 「洗ってあげる」とにやける口元に、「もうしたくない」と拒否をすると、意外にも彼は素直に「わかった」と了承した。 そして彼は、ソープで泡立てた手で僕の体に一通り泡を塗りたくったけど、最後まで本当に作業的で、胸も股間も、どこに触れても全くエッチじゃなかった。 「そんな触り方できるの」と驚くと、彼は「君が望むようにした」と呆れて、そして「ウィルもして」と腰に手を当てて仁王立ちした。 僕も彼の体にソープを泡立てていくと、胸や腕の体毛で簡単に泡が増えた。面白くなって擦り下りて、跪いたら目の前に大きくなってないペニスがあったから、少し不思議な気がした。これまで僕は、彼の”平常時”にあまりお目にかかっていなかった。 彼の陰毛で泡を立て、ぺろんとぶら下がってるペニスを洗って、タマも洗った。その奥に手を突っ込もうとしたら、「自分でやるよ」と言われたから、残りの脚を洗った。そして顔を上げると、優しく見下ろされていた。 ただ、そうしたいと思ったから、シャワーのお湯で彼の股間の泡を流して、大人しいペニスの亀頭に口付けた。 彼は黙ってバスタブに腰を掛けて、僕は彼を追いかけるように床に四つ這いになった。 「…どうしたの?」 僕の髪に潜った指が遊んで、頭皮をくすぐった。 「…こんなこと、したいなんて思ったことなかった…」 亀頭から根元まで、口付けで啄みながら辿った。 「アレックのせいで、僕、どんどん変わってく…」 舌の先で、根元から亀頭へなぞり下りる。 「…後悔してる?」 首を横に振って、亀頭をキャンディみたいにしゃぶってみると、ニオイも味もない。根元まで咥え込み、強めた舌で押し揉んでいると、口の中でむくむくと膨らんだ男根に喉を突かれて顔を引いた。頭を前後してしごき、一心に裏筋をくすぐって、カリ首に舌を擦り付けていると、薄い先走りが舌の根を濡らした。 「君、したくないって言ったのに…」 穏やかに微笑んだ彼は、静かに僕の口からペニスを外した。そして、僕にバスタブに掛けさせると、入れ替わるように僕の足の間に顔を埋めた。 「…おまんこ、どう?」 温かな舌が、ちろちろと僕の肉びらをくすぐった。 「…熱くて、痺れてる、感じ…」 僕は脚を開いて、もっと腰を突き出した。 「麻痺してるね…」 伸びた舌に、アヌスからクリへとゆっくり舐め上げられる。気持ちがいいけど、いつもみたいな強烈な快感がなかった。 「…アレック、僕、感じてない…」 「…これでいい」 何度も何度も、柔らかく静かに僕を舐め続ける彼のそれは、性戯というより、僕を優しく労っているようだった。 そして彼は、満足するまでそうした後で、僕の下腹部に頬擦りをして、しばらく何かを聞いてるみたいにじっとしていた。 「…アレック?どうしたの?」 「…愛してる」 「…うん」 彼は「うん」とそこにキスをすると、そのままへそ、鳩尾、胸の真ん中へと口づけで這い上がって、僕を抱き上げた。 そして僕らは、もう一度シャワーの下で抱き締め合って、泡立つ体を擦(こす)り付けながら洗い流して、いっぱいキスをして、時々くすぐったいって笑い合って、彼のペニスを僕の股に挟んで一緒に気持ちよくなった。彼は勃起してるのに射精する気はないみたいで、「これで充分」と笑って、僕を強く抱いた。 不思議なことに、彼の愛撫は全然いやらしくなくて、ただただ優しくて、僕は、まるで至福の夢の中にいるみたいだった。

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