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第15話
はあ?
ふざけんな、
そうおもった。
キタノがオメガとつるんでるの見てショックをうけた。
キタノは顔を緩ませ、隠しきれない笑顔でそのオメガといた。
結局、オメガ相手に骨抜きにされてるバカの1人だったのか、とキタノに呆れた。
所詮、ショウが持ってるおもちゃ達と変わらないのかと。
ガッカリした。
腹立たしかった。
でも。
思った。
オメガだったらやっばり自分でもいいはずだ。
と。
ショウは沢山のベータと遊んできた。
ベータのあつかいは誰よりもうまい。
こんなにベータと遊んでるオメガはいない。
加減もわかるし、どうしたら良いのかもわかる。
上手にしてあげられる。
キタノが寝てるオメガなんかよりずっと。
ショウより上手くベータとセックスできるオメガはいない。
なのに。
キタノは本当にそのオメガに夢中で、ショウのことなんか、いや、誰のことも目になくて。
前みたいに話かけても前よりより全然ダメだし、絵を描く時もそのオメガと一緒だから割り込めないし。
でも、大きなキタノが守るようにそのオメガの傍を歩いているのとか見てるといつも胸が詰まって。
苦しくてたまらなかった。
絵を見て笑ってくれたのはキタノだけ。
普通に扱ってくれたのはキタノだけ。
そのキタノはオメガに夢中。
自分より劣るオメガに。
兄に犯されるより辛かった。
そんなことがあるのかと思った。
でも実際そうだった。
都市にきてからは、兄の仕事先の1つが近くなったため、せっかく減っていた兄からの虐待はまた増えていた。
だが、兄もまたアルファ達にバレぬよう、ショウを自分の家には閉じ込められない。
他のアルファの番になる可能性のあるオメガを、番に出来ないのに自分のモノにするのは許されない行為だ。
アルファはそれを許さない。
単なる弟を犯し支配している以上にそれは許されない行為だった。
だから増えてはいても、週に1度か2度訪れるくらいだ。
そして、弟を陵辱して楽しむ。
大学を出たら、カタチばかりの画家にして、ショウをどこかに閉じ込めて、今より逃がさなくするだろう。
兄は本当は社会にショウを出したくないのだ。
アルファのオメガの愛を得たい、という本能はショウが弟であるため抑制されているのだ。
「ショウ、おいで」
兄に言われるだけで、ショウの身体は言いなりになる
兄がそういうだけで、ショウは自分から服を脱ぎ、兄へと腕を伸ばすのだ。
兄の舌を自分から夢中で求め、兄の身体に勃起したペニスを擦り付けるようになったショウの後ろが、濡れているのを確かめて、兄は満足そうに笑うのだ。
それがキライだった。
でも兄がズボンをおろせば自分からしゃぶりつき、兄をイカせるより先に自分がイってしまう。
それがキライだった。
兄はわらって沢山かわいがってやる、という。
触れられただけでその箇所が熱くなり、身悶えする。
兄弟だから、番になれないし、オメガの愛を得たいという本能も働かないくせに、ショウの身体はセックスではアルファとしては兄を認識し、その指や舌に感じてしまう。
吐き気がするほど嫌いなのに、どんな誰よりも感じる。
それは最初からで。
無理やり犯されたあの日からで。
それがキライだった。
でもショウは兄もの大きな美しい肉体に組み敷かれ、アルファのためのオメガに変わる。
アルファの欲望を全て受け止められるオメガに。
それが何よりキライだった。
「可愛いね、ショウ」
兄は優しく言う。
ショウはそれが酷く犯されてる時にカイにかける自分の声と似ていることには気づかない。
兄は思うまま、ショウを貪る。
兄はショウを思いやるようなセックスなんかしたことがない。
ショウが何をされても感じるようにはしたけれど。
快楽は凄まじく、焼かれた脳はもっと欲しいと、もう赦して欲しいの両方をねがう。
貫き殺される感覚も、引き裂かれる感覚も、なにもかもが原色で、頭の中で不協和音のはずなのに、それが引き裂きながら共鳴する。
憎んでいるのに滴って。
熟れて弾けて。
食い尽くされる。
兄への憎悪は更なる快感で。
でも、兄が抱いてるのは沢山のベータに汚されたカイを受け入れてやった身体なのだと思えば、そこだけは楽しかった。
そう、カイ。
カイとのパーティは高校の時よりは慎重に行われた。
兄も近くなったことだし。
でも。
やはりカイは可愛くて、ショウの呼び出す場所にはちゃんと来て、いや、よばなくても下手すれば美大の中にまでいて、ちゃんといつでも遊んでくれた。
カイはショウ公認のストーカーだ。
いつでもいる
そうカイが言ったのだ。
キタノを見て。
「本当にベータなのか」と。
それが始まりだった。
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