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第17話
全てをお膳立てしたのはカイだ。
カプセルを取り除き、発情を引き起こす薬を投与した。
望んだのはショウだ。
カイはいつも通り、ショウの言うことはなんでも聞いてくれる。
「そうしたら、あんたが卒業しても会ってくれる?」
カイは聞いた。
頼んだ時、先払いのご褒美に2人きりで可愛がってあげようとした。
ショウのキスよりその答えを欲しがった。
ああ。
さすがだな、ショウは思った。
さすがのストーカーだ。
カイはショウが兄に支配されているのを知っている。
卒業したら閉じ込められることも。
どうやって調べたのか。
家族と秘書だけの秘密なのに。
「キタノと番になれたなら、カイとも会えるよ」
ショウは言った。
それは嘘ではない。
でも、キタノが嫌がるならショウは二度とカイに会わないだろう。
ショウはキタノに愛されたかった。
今あのオメガを愛してるように。
その為にならなんでもするつもりだった。
そこに可愛いカイを切り捨てることが入るならそうしただろう。
でも、今はまだそこまで考えることはない。
その時はその時だ。
「キタノが番にしてくれないなら、二度と会えなくなる。そしたらもう可愛がってあげれない」
ショウはカイの乳首を指先で優しく擦りながら言った。
カイが喘ぐ。
優しくたっぷり可愛がられるのが本当は好きなのをショウは知ってる。
もう尖ってるカイの乳首をショウは齧ってあげた。
コリコリしたそこは、もう女の子より敏感で、舐めて溶かして、芯を噛んで快感を引き起こすと、カイは声を殺せなくなる。
カイはもう犯されてない日は自分で自分を慰めているのをショウは知ってる。
乳首をいじめられ、後しろを弄られないと満足出来ないのだ。
ショウに挿れる以外では。
「こんな場所じゃなくて、ちゃんとベッドで朝まで可愛がってあげるから」
ショウは約束した。
守る気の無い約束だった。
キタノはそういうの嫌いそうだと思っていた。
だから、多分、カイとはこういうことはできないだろうとも。
今日も職員をおもちゃにして手に入れた空き倉庫の冷たい床の上でカイを可愛がる。
カイはベッドでセックスしたことがないのだ、可哀想に。
音を立てて乳首を吸うと、カイは身体を震わせる。
可愛いカイ。
淫らなカイ。
もう誰が相手でも感じるカイ。
カイにはもう妖しい吸引力があった。
沢山の男に抱かれ感じてきたからこその
もうみんながショウの命令だけのためにカイを抱いてるわけではないのを知ってた。
カイがショウのために用意したアレコレも、カイが自分の身体をつかって手に入れた可能性は高い。
「可愛い、カイ。こんなにオッパイで感じて」
ショウは囁く。
舐めて、舐めて、溶かしきる。
噛んで吸って、舌で転がし、その快楽の芯を捉えて離さない。
カイだけでなく、ショウに可愛がられる男達はみんな指と舌だけでも、ありえないほどに狂う。
オメガ程、セックスに長けている生き物はいないから。
支配者アルファを楽しませるためだけの生き物。
それがオメガだから。
カイは泣いて感じて叫ぶ。
いい
いい
すき
ショウ!!
カイは可愛い。
とても可愛い。
後ろの穴も舐めてやり、指でたっぷり可愛がった
挿れてあげたい位だが、兄に調教された身体はそれが出来ない。
そういう意味ではショウはカイの調教が足りなかったのだろう。
カイはショウにだけはその中に入りたがる。
他の男には完全に雌になってしまっているのに。
でもオメガに入るのは、オメガを抱くわけではないと、ベータ達は知る。
ベータはオメガに抱かれるだけだ。
ここまでされたがるベータもそういない。
そこまでの快楽だけで、恐ろしすぎて、犯される女性のように泣くのだ。
だがカイは違う。
カイだけは。
どこまでもショウを欲しがる。
カイを自分の中に沈め、まるで炎の中に入ったかのように絶叫するカイを、それでも加減してやりながら、可愛がる。
ショウ
ショウ
愛してる
すき
それしか言えない哀れなカイ。
ショウは何度もキスしてやった。
キタノが番になったのなら、こういうことも出来なくなるかもしれない。
だが可愛いのは本当だった。
可愛い可愛いおもちゃ。
お気に入りで大切な
捨て去る時はきっと悲しくなるだろう。
ショウは特別にカイに中で出すことを赦してやった。
カイは、泣いていた。
そしてその日だけは。
兄の監視も恐れず、大学から駅まで一緒に歩いてあげたのだ。
まあ、兄が仕事が佳境なのはわかっていたし、いつも利用する兄の会社の車を断ることは買い物などのために、たまにあるし、この位ならギリギリいけるという判断の上だったが。
大学内以外で誰かと並んで歩くことが初めてだった。
そう言って悪くとカイも小さく笑った。
「あんたを自由にします」
カイは言った。
カイがキタノの件を助けてくれる理由はこれだろう。
「絶対に自由にする」
カイは小さな声だがハッキリ言った。
「ありがとう」
ショウは上機嫌だった。
全ての段取りはついた。
もうキタノの意志は関係ない。
ショウはキタノのオメガになる。
さっさと番になっていなかったあのオメガが悪いのだ。
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