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第6話
「狭いけどあがって」
ともくんの家はともくんの大好きな車関連のものがたくさんおいてあった。
整然と並んだその姿は圧巻だった
「すご…」
「そうでしょ」
あははってまた笑ったともくんはまだ俺の手を引いていた
「あの…ともくん」
「ん?」
「あの…手…」
「ああ!!ごめんごめん!何だか離したくなくて握ってた。許して?」
そう言うと僕の手をニギニギとして遊んでる
「うー…太ったからでしょ…」
「え?かわいいよ?しーさん。すっごく可愛い!食べちゃいたい」
「その顔で言わないでよ」
すっごいキメ顔で言うもんだから顔が熱くなった
「あー!照れてる?オレの顔好きだもんねぇ!」
本当に前と変わらない…明るくて元気で…
「ともくんは昔よりももっともーっとかっこよくなったね」
さっきまでは消えてしまいたいくらい隣りにいることが烏滸がましかったのに現金なもので言葉はさらさらと出ていった
「へ?そう?しーさんに言われると照れちゃうなぁ」
そう言うと何故かぎゅっと僕を抱きしめた
「ともくん?」
初めてのことにびっくりして大人しく抱きしめられてる
「…どうして…泣いてたの?旦那さんに何かされたの?」
ともくんから出たとは思えないほど低くてお腹に響くような甘くてけど怒ってるような声に体が震える…
「旦那には…何もされてないよ…ちょっとママ友さんに言われて…勝手に落ち込んでただけ…彼女の言うことは最もだったんだけどね…」
ともくんの目を見てるとなぜだが決壊したダムみたいにボロボロと言葉と涙が溢れてきた。
「俺…ほんとに…愛されてるんだよ?…わかってんの…だけどさ…俺さ」
そういえばあの頃は自分のこと俺って言ってた…旦那と結婚して気付けば自分のこと僕だって言うようになったんだけど…そのきっかけは何だったかな?
「俺…やっぱり…ともくんのこと…忘れられなかった…旦那に抱かれながら…子育てしながら…ずっとずっと…ともくんのこと考えてた…だからかなぁ…」
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