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第9話

「…旦那さん?」 「わかんない…」 「確認してみて」 「うん」 画面を開くとそこには沢山着信が来てた。 えっちゃんからだ 『もしもし!!』 「…あ…あの…」 『今どこ?大丈夫?ごめんね!すぐに追いかけられなくて…きみちゃん止められなくて…本当…ごめん…』 「きみさんは?」 『家に送ってきた。しーくん!どこにいるの?迎えに行くから…話しよ?』 「…今…前住んでたとこに…」 『…誰かと一緒?』 「…うん。よく遊んでもらってた人とたまたま出会して」 『そっか…一人じゃないんだね…よかった…私がうまく言っとくから一晩くらい泊まってきたら?少しは気が紛れる?』 「ううん。帰る。子どもたちが待ってるから」 『…わかった。駅まで迎え行く』 「大丈夫だよ。帰れるよ?」 『私が行きたいの。電車乗ったら連絡頂戴』 「ありがと」 電話を切りともくんを見つめる 「ありがとう…もう帰るね。また会えてよかった…頑張れるよ」 夢みたいな時間はもうおしまいにしなくちゃ…キスしてくれた…好きだって言ってくれた…それだけで生きていけるでしょ? 「しーさん」 ともくんが真剣な表情で見つめてくれる 「…ん?」 「さっきのキス…いきなり…ごめん…けど…軽い気持ちでしたわけじゃないんだ…俺は…今でもしーさんのこと…」 「うん…わかってる…」 「…連絡先教えてくれる?ほら。相談乗るからさ」 その甘い囁きに頷く。さっきの熱いキスがもしかしたらまた味わえるのかな…また好きだって言ってくれるかな?という俺の浅ましい思いのままに…さっきもうおしまいにしなくちゃって思ったのに本当…最低だな… 「駅まで送るね」 あのときは乗せてもらえなかった助手席にさっきも今も乗せてくれた。乗り込めばずっと手を繋いでくれてた。駅までの道があっという間で残念に感じてしまう 「行くね」 「待って…」 そう言って周りを確認するとそっと俺を引き寄せてキスしてくれた 「しーさん。寂しくなったらいつでも会いに来て…どうしようもなかったらいつでも呼んで。あの日みたいに会いに来るから」 「ありがと…」 「…俺の秘密聞いたら…しーさんは俺のこと嫌になっちゃうかもだけどね。それまでは…俺に…夢を見させて…。じゃあね」 そんな言葉を残していくなんて…ともくんはずるい。また忘れられなくなってしまう…何があったのかはわからないけど…結局どんなに悪い男だったとしても…それこそ犯罪に手を染めてようとも俺はどうしようもなくともくんに溺れてるから好きなままなんだろうな 駅につくとえっちゃんが来てくれてた。見慣れた笑顔にホッとした

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