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第16話

「しーさん」 「…」 「顔上げて。こっちみて?ね?」 そう言って俺の両手を優しく包み自分の胸に持って行った。 「わかる?俺こんなにドキドキしてるの。寝起きの泣き顔とか…可愛いんだけど…嬉しそうに笑う顔も快楽に蕩けてる顔も真面目な顔して考え込んでる顔も…全部全部…好きで好きでたまらなくて…こんなにドキドキさせるのしーさんだけだよ。俺今ね幸せを噛み締めてるんだ…けど同時にさ…怖くもある…だって…好きでたまらなくても…しーさんは…今俺じゃない人と家庭を持ってる…しーさんはすごく繊細だと思うから俺とこうなったことで家庭でも悩むことになるんじゃないかなって…しーさん苦しめちゃうって…わかってる…わかってるんだけど…手放したくない…こんなワガママなんて…いっちゃだめなのに…」 そういいながら泣きそうな顔を見られないようにするためなのかともくんは俺の肩に顔を伏せた 「しーさん…俺…しーさんが好きだよ…誰よりも…何よりも大切なんだ…けど…俺…」 切ない嘆きに胸が詰まる…あぁ…こんなに好きでいてくれるなんて… 「ともくん…昨日も…話したけどさ…もう一度…聞くよ?俺と…共犯になってくれる?俺はさ…夫とは離婚はできないんだ…子どもたちは絶対に捨てられないし…けれど…ともくんも手放したくない…こんなわがまま…ともくんには辛いだけだよ?いつか終わりが来てしまうかもしれない…けど…それまでは…こうして…ともくんと一緒に過ごしたい…ともくんの大切な時間を奪うだけになるかもしれない…それでも…一緒にいてくれるの?」 「…それでも…しーさんと一緒にいたい…」 ボロボロと涙で俺の肩を濡らすともくんをそっと抱きしめた 「ごめんね…ともくんだけのものじゃなくて…」 「しーさんは悪くない…俺が…あの時…ごめん…」 二人で涙を流しながら謝罪と愛の言葉を囁き続けた

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