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第18話

気持ちを確かめあったあの旅行から季節が移り変わった。 あの日からともくんとは会えていないけど毎日欠かさず連絡をくれるし声も聞かせてくれる。全然寂しくないって言えば嘘になるけど気持ちは満たされている。 旅行の最終日にともくんからプレゼントされたネックレスをきゅっと握る。そうやって一緒に過ごした時間を毎日思い返してる… ……… 「しーさん」 「ん?」 もうすぐ電車が来てしまう。別れの時間は刻々と迫っていた。けれどなかなかお互いに手を離せなくて立ち尽くしてた。 「ちょっと待ってね」 そう断って荷物を探るために離れていくともくんの手を目で追いながら温もりがなくなり寂しくなった手を握りしめた 「よいしょっと…これ…渡せるかどうか微妙だったけど…用意しておいたんだ」 そう言うと小さな箱が出てきた。開けるとそこには小さな石が寄り添うように埋め込まれた指輪とシンプルなチェーン。見覚えのあるそれは… 「これね俺の誕生石としーさんの誕生石の入ったものでね…」 そう言いながら俺の手を取り指輪をはめてくれた 「…これ…サイズピッタリ…」 「へへっ…よかった…色々悩んだけどこのサイズにして正解だったね。実はこれ…俺とお揃いなの」 そう言うと初めてみたときから気になってたネックレスを愛おしそうに見せてくれた。 「なかなか会えない…普通の恋人とは違う関係だけど…違う形でもいいから寄り添っていたくて…用意しておいたんだ…本当はさ…この旅行でしーさんは俺とのこと最後にするつもりかもしれないって…思ってたんだ…だから…どうしようか悩んだけど…一縷の望みをかけて…ね?旦那さんの指輪もあるから…指にはつけられないけど…これに通してつけてくれるならいつでもそばにいられるから…」 そう言ってチェーンに通してくれて首につけてくれた ……… あの日からずっと身に付けている大切な物。夫はネックレスのことについては何も触れてこない。 「しーさん。おはよぉ」 毎朝来るともくんからのメッセージに笑みを浮かべながら返信する 「ともくん。おはよう。今日もお仕事頑張ってね」 「ありがと」 今日もメッセージのやりとりをしていたらもう夫が起きてくる時間だ。 スマホ片手に朝食とお弁当を作っていつものように夫をキスで送り出して次は子どもたちを起こす番。とはいえもう小さな子供ではないので下の子はいつも同じ時間に起きてきて黙々とニュースを見ながら朝食を摂る。その姿を横目で見て上の子を起こしに行った。

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