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第26話
夫の言う通り毎日ともくんから連絡は来た。けれど会ったりすることもテレビ電話をすることもなくなった。
会いたくて会いたくてたまらないのに俺はまだ…最低なことをし続けてる
「しーくんっ…はぁ…気持ちいい?」
「ん…気持ちいいよ。悠衣…」
今日から夫は出張で繋は泊まりにいってる。必然的に悠衣と二人きりになった俺はこうして悠衣に足を開いているのだ
悠衣はあの日猛省しててもう二度としないからと言ってくれた。けれど俺から誘って何度か関係を持った。
夫の目を盗み悠衣の部屋に入り浸って悠衣に求められる自分に酔いしれてた。
あの日から夫も俺に気を使ってか俺を抱かなくなったから持て余していたのだ。
悠衣だけじゃない。繋とも続いていた
沼にハマっていく。ずぷりずぷりと…
「しーくん…俺だけのになって…」
ことを終えると悠衣は必ずこう願う。けれど俺は最低だから…
「ごめんね。それはできない。俺はお父さんのものだから…」
「あの人とは?」
「…あの日だけだよ…あんなことしてたの…だからもう会うこともないよ」
「そっか…」
「悠衣のになれなくてごめん…けど…お父さんにバレるまではこうして抱いてくれていいよ。それで気が晴れるなら」
「しーくんっ…困らせてごめんね」
悠衣は悪くないのに…また、こうして謝らせてしまっている…悠衣のせいにしてしまっている…
…俺は悪くない。悠衣が俺を求めるからそれに答えているだけだ…そう思い込ませてる
「しーくん明日から俺合宿で家開けるから…寂しくさせちゃうけど…帰ってきたらまた相手してね」
「うん」
「今日は…一緒に寝て?」
「いいよ」
そうして一晩抱きしめられながら眠りについた。翌朝早くに出掛けていった悠衣。俺はまた最低なことを呟く
「今日は…」
悠衣の部屋を片付け何事もなかったかのように整える。そして他の部屋も全て何もなかったかのようにして…そうして悠衣との情事を思い浮かべ己を抱きしめた。さっきまで愛する我が子に抱かれていた厭らしい体を慰めるために。座ったままふわふわした心に耳を傾けてると声が響いた
「ただいまぁ」
繋だ…声を聞いたら飼い犬のように急いで立ち上がり駆ける。そんな浮かれた心を必死に隠しながら出迎えた
「おかえり。早かったねぇ。帰りは昼過ぎの予定じゃなかった?」
「ん?んー…しーくんが…しーくんの身体が一人で疼いて寂しいだろうからね。早く帰ってきたんだ。早朝から悠衣も不在でしょ?そんでまた変な男呼ばれて楽しまれても困るしね。おいで。しーくん」
繋は両手を開いて俺を招いた
嬉しくて繋に抱きついた。そんな俺にたくさんのキスをくれる繋。
「可愛いしーくん。…さてと…俺はこれから部屋に籠もるからしーくんは…どっかでゆっくりしてきたら?」
「え?」
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