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第30話

その日悠衣は帰ってこなかった。週明けまで泊まってくるって連絡はくれてたから心配はしてないけど… 「しー。行くよ」 繋に見送られ旅行カバンを持って家を出た。行き先は秘密みたいでわからない 久しぶりに二人きりでのドライブは思ったより普通に過ごせてた 他愛無い話をして途中何度か休憩して…ついた場所は一度はいってみたいと随分と昔に話していた場所だった 「ここって…」 「結婚してすぐ行きたいって言ってただろ?すぐに悠衣が出来たからなかなか行けなかったから…結構遠かったし。疲れたろ?一旦チェックインしよう。しーはここで待ってて」 夫は俺の分の荷物も持つとカウンターに向かった。 俺はホテルの内装をじっと見ていた。 ここは俺がまだ働いていたときに初めて内装のデザインを任されたホテルだ。 完成前に夫と結婚したために完成した姿は見られなかったのだ。 完成するまでは働きたいと申し出たのだか夫は許してくれず泣く泣く企画を信頼の置ける部下に託したのだ 「思ってた以上だ…」 嬉しくてその場でその部下に連絡をする。するとすぐに電話がなった 「せんぱーい!!お久しぶりですぅ」 「あはっ…お久しぶり。俺のこと覚えててくれたの?」 「勿論です!!やっと見られたんですね!良かった。随分と時間が経ってしまったけど…思ったとおりでしたか?俺できましたか?」 「うん。ありがとうございました」 「あー…本当に…良かった…嬉しいです…そうだ!!実はですね。長い時間が経ってしまったので少し手を加えることになって…で俺今近くにいるんすよ!!悩んでる箇所があって…相談しにいってもいいですか?」 「俺はもう退いた身だし何もかも覚えていないよ。だから信頼の置ける人に相談したらいい」 「えぇ!!やですぅ。折角だから一緒に考えてくださいよ!いやね、信頼の置ける人は沢山いるんですよ!けどこれと言って決め手がなくて…だから部外者の意見を聞こうという計画が立ってて。勿論そこに一番に名前があがったのが先輩なんです。だから…」 「ごめんね。俺夫と来てるから自由に動けないんだ…」 そんな話をしてたら夫が戻ってきた 「しー?どした?」 「あ。ちょっと待ってね」 後輩である純粋と聡明という意味をもつ名の聖純くん。本当に名前をそのまま表したような人だった。 だからこそ任せられた大切な部下だった人 「電話誰?」 「聖純くんだよ。毎年年賀状くれるでしょ?ここ引き継いでくれた人」 「あぁ。それがどうしたの?」 「えっと…聖純くんまた掛け直すね」 電話を切り今聖純くんと話した内容を話すと夫は渋い顔をした 「だよね…わかった…断る…」 「いや…いってこい。ずっと気にしていただろ?」 「けど…折角の旅行なのに…」 「大丈夫だ。それに…お前のそんな嬉しそうな顔…久しぶりにみたし。仕事ずっとしたかっただろ?俺の我が儘で辞めさせてしまったし…やっぱ仕事してるときのお前カッコよかったしな!うん。行ってこいよ」 「…でも…」 「俺は部屋でゆっくりしてるから大丈夫だ」

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