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第31話
「せんぱーい!!」
折り返したら本当にすぐ近くに居たのだろう数人の人を連れてやってきた
「久しぶり、聖純くん」
「初めまして!!咲坂さん!」
「初めまして。新渡しおりです」
「あ。そうでした。結婚されて夫婦同姓を選ばれたんでしたね。部長から話はよく聞いています。とても素晴らしい方だと」
同性婚が承認される前から夫婦別姓も承認されていてそちらを選ぶ人の方が圧倒的に多かったのだがうちは夫の希望で同姓を名乗ることになったのだ。
「聖純くん今部長なの!?」
「へへっ。名ばかりで後はみんなに頼りっきりですけどね」
「そうなんだ!教えてくれたら良かったのに!お祝いしてない!」
「そう言うと思ったから隠してたんです!俺は別に祝われたい訳じゃないし!こうなったのもセンパイのおかげだし!あのホテルを手掛けさせてもらったことで仕事の幅が広がったんです!先輩の柔軟な発想とかを参考にして色んな視点で見られるようになって…あ!そうだ!仕事の話!!ここの会議室を借りてるんです」
「そうなんだね。じゃあ…」
「よろしくお願いします!!…にしても…相変わらず…可愛いですね!」
聖純くんはいい声で囁いた。
「…はぁ…やっぱ…可愛い…」
「ちょっと!やめてって!」
偶にそんなふうに俺をからかってくるとこは変わってない。
「あははっ!!もうっ!本当に…可愛いんだからぁ」
会議室に入るとさっきの人とは別人みたいに変わる。聖純くんは本当に良くできる人なのだ。そのギャップに惚れる人も多くいたことを覚えてる。未だに独身なのが不思議だ
「あ!そうか!そうすればよかったんですね!この発想は誰も思い浮かばなかったです。みんなどう?」
俺の意見は盤上一致で承認された。すぐ仕事に掛かれるよう聖純くん以外の人たちは帰っていった
「聖純くんは?」
「俺は明日またここで会議があって泊まりなんです。部屋も取ってあります。早く仕事終わったし少し俺の部屋でお茶しません?」
「部屋?」
「あぁ…まずいですかね?旦那さんいるし…」
「…うーん…聖純くんだし大丈夫と思うけど…」
「んじゃいきましょ!」
部屋につくと聖純くんがお茶を淹れてくれて色んな話をしてくれた。仕事のこととかプライベートのこととか本当にいろんな話しを
「そういや…恋人とかいないの?モテるでしょ?」
「ないですねぇ。俺先輩以外興味ないし」
「好きな人はいるの?」
「ちょっと…スルーです?…まぁいいけど…えぇ。いますよぉ。もうずっとずーっと片思いです」
「そうなんだねぇ。その人に気持ちは伝えないの?」
「うーん…伝えてもいいけど…脈なしですからね」
「そうなの?聖純くんから思われてたら幸せだと思うけどなぁ」
「んじゃ…仮に先輩にそんなこと伝えたら幸せですか?」
「俺?そうだね。悪い気はしないかなぁ」
「あーあ…」
聖純くんがなんだか困惑したような表情で俺を見た
「…先輩がわるいんですからね!」
「え?」
聖純くんが俺をソファーへ押し倒した
「先輩」
「何?どうしたの?」
この顔は知ってる…俺に欲情する男の顔…それだ…何で…
「…俺がずっと片思いしてるのあなたですよ」
「え!?」
思わぬ告白に頭がまっしろになった
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