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第34話

「先輩」 「ん…部屋に戻るね。仕事頑張ってね」 服を整えて部屋を出ようとすると彼に呼び止められた 「…また…会ってくれますか?」 切実な願いに曖昧に頷き部屋を後にした。 戻ると夫はベッドで眠っていた 「ただいま」 耳元で囁くと夫が身じろいだ 「ん…おかえり…しー」 夫は俺の髪を撫でた 「仕事…どうだった?」 「うん。僕の意見を参考にしてもらえて近々また始めるらしい」 「そうか。また完成したらこような」 「うん」 その時部屋のベルがなった 「あれ?何かあったのかな?」 ルームサービスを頼んだ記憶も騒がしくした記憶もない。 「んあ?俺出るよ。しーはここで待ってな」 そう言ってドアに向かっていった夫の背中を見送る。 今日泊まる部屋は和洋室になっていてファミリー向けに作られた部屋。小上がりの和室があってその隣の扉が洋室になってる。 バスルームは広めに取ってあってこのホテルでもそれなりにいい部屋だ。 夫が誰かを伴って戻ってきた。ふと視線を上げたらすぐに暗くなって… 「しーさん…会いたかった」 その声を聞いた瞬間涙が溢れた。ずっとずっと会いたかった人だから 「ともくん…どうして…」 「しーさん誕生日でしょ?どうしても一緒に過ごしたくて旦那さんと計画してたんだ。子供さんに見つかる随分と前から…だから旦那さんと2人で会うことも増えてたんだ」 俺を挟むようにして夫は後ろから俺の腰を抱いた 「しー。不安になってたろ?俺と彼がしー抜きで会ってたこと。彼と一緒にお前驚かせたくて黙ってたんだ。ごめんな。俺たちは2人でどうこうする仲じゃねぇよ。しーが不安になってたとき子供に知られて…沢山悩んだろ?」 「すぐに来れなくてごめんね。子供たちも苦しめたよね…ごめんね」 あぁ…こんな風に俺を思ってくれているのに…俺…二人以外と…よりによって二人が心配してくれる子供たちとあんなことになって…聖純くんとも…本当に…どうしようもないな… 「しーさん?泣いてるの?どした?何かあったの?」 「ごめんなさい…」 本当のことは言えずただ泣き続ける俺を二人は暫く抱きしめてくれていた

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