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第35話

「しーさん。落ち着いた?ごめんね」 「ううん…嬉しくて…ありがとう…2人で俺のために考えてくれて…すごく…嬉しい」 嬉しいのは本当。けど泣いたのはそれだけが理由じゃない… 「しー。飯食えそうか?」 「うん。大丈夫。お腹すいた」 僕は…俺は…いつまで… その後二人が用意してくれていた様々な誕生日のお祝いのプレゼントや食事を何事もなかったかのように笑顔を貼り付けて…受けとった。 もう…前の俺じゃない。二人が愛してくれた俺はもういないんだ… 昔の僕なら…俺なら…今の状況を見たらなんと思うかな?きっと軽蔑するだろう。こんなはずじゃなかった…そんなふうに思ってたって結局は今の状況が現実なのだから… こんなんで幸せにしてあげられる? みんなの愛してくれた自分をずっとずっと貫ける? 「しーさん。何かあったでしょ?」 夫が風呂に行ったのを見計らいともくんに問われた 「…ともくん…大好きだよ…けどさ…もう全部おわりにしようか?」 「えっ!?」 「…俺は…ともくんが愛してくれてた俺ではもうないからさ」 ともくんはびっくりして固まってる 「俺ね…ともくんのこと大好き…けどさ…もう…」 「旦那さんと生きることにしたの?」 「…ううん」 「…子どもたちは?」 「あと一年すれば…下の子も家を出る…」 「家族を…捨てるの?」 「…捨てられる前に…逃げる…」 「…どういうこと?」 「…あのね…俺ね…ともくんと夫以外にも関係を持った人がいるの…」 あんなに大好きだったともくんの顔が見られない… そんな俺をともくんは抱きしめてくれた。子供をあやすようにそっと… 「…俺たちを裏切ったって…こと?それで…罪悪感に押し潰される?」 「ん…ちょっと…違うかな…このままだと特定の人とだけっていうことがおそらく俺はできない。今後もっと関係する人を増やしていく。そんな俺はもう君たちに相応しくない。病気かな?狂ってるんだ…誰かに抱かれていないとおかしくなる…だから…愛してるから…みんなから離れるの…これ以上…側に居られない」 「しー…どういうことだ」 いつの間にか夫が戻ってきてた。夫もとても困惑している声だ 「ごめんなさい…俺はもう…君が愛してくれた俺ではない…」 「あの男と…寝たのか?後輩と…お前のことを特別な目で見てたあいつと」 「…聖純くんは俺に手を出してない」 実はあのあと聖純くんは涙を零し俺に服を羽織らせた。聖純くんから触れられたのは優しいキスだけ。 「好きだから…できません…そんな…自分を簡単に諦めないで…大好きなんです…誰よりも貴方が大切だから…ごめんなさい…あんなことさせてごめんなさい」 聖純くんは思い留まってくれた… 「貴方は狂ってない…」 そう言ってそっと抱きしめた腕の力を抜いてくれた。 ボロボロ子供みたいに涙を流しながら何度も謝罪の言葉を口にしてた。だからこそ俺がおかしいってことを強く思い知らされたのだ。 このままではいられないってことも

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