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第38話

悠衣はあの日を最後に俺を抱かなかった。 親子に戻ってくれた…そして… 「んじゃ!行ってくるね。親父しーくんよろしくね!繋も」 あっという間に時は流れて旅立ちの日がやってきた。 「悠衣はすぐに寂しくなって泣きながら連絡してきそー!」 「うっせ!繋が寂しくなるんだろぉ?」 「はいはぁい。そうですねぇ…さびしーですよー…悠衣…行ってらっしゃい。体気をつけなよ」 「おう。ありがと」 自分より背の高い繋を一撫ですると悠衣は満面の笑みで手を振った。 笑顔で待っていくれた矢夜くんの元へ走り寄り矢夜くんの手を取った 「んじゃ!行ってきます」 今度はこちらを振り返ることはなかった 遠ざかる後ろ姿に込み上げてくるものがあった 涙する俺にそっと寄り添ってくれる人がこうして側にいてくれる…俺は…これ以上何を望むんだろう 帰宅して3人だけになった家の中でぼんやり過ごす。 悠衣の部屋に向かい悠衣が残していったものを一つ一つ確かめる。 生まれたばかりの多くの機械をつけられている写真。初めて寝返りしたときのもの、初めてハイハイしたときのもの初めて歩いた日のもの…色々な初めての出来事の写真たち。幼稚園の時の工作や手紙…。小学校の行事ごとの写真だってそう。各学年ごとの文集たちも。そして何より部屋を埋め尽くしているのはバスケの大会でもらった多くの賞状やメダルなど…もう数えられないくらい沢山たくさん…全部…全部悠衣の大切な軌跡だ 「悠衣…頑張って」 主がいなくなり寂しくなった悠衣の部屋で呟いた

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