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第40話
悠衣からは暫くは毎日連絡が来ていた。どんなにきつい練習の後でも。
でもその頻度は次第に減っていった。
それが成長なのかと少し寂しさを覚えたけれど同時に喜ぶ自分もいる
仕事もとても楽しい。今日は久しぶりにえっちゃんとランチだ
「しーくん!!久々!」
「うん。元気してた?」
「元気だよぉ!しーくんなんか前より男っぽくなった!いや別に前が女っぽかったって意味ではないよ!」
「わかってる。ありがと。今仕事が楽しいんだ。通勤は大変だけど充実してるよ」
「その言葉を聞いてホッとしたよ。実は私ねこの街から出るんだよ」
「そうなんだ。やっと帰れるんだね」
「うん。こっちの方も落ち着いたし人材の教育も大丈夫そうだからね」
えっちゃんとは色々な話をした。話題も尽きなくてすごく楽しかった
えっちゃんも遠くに行ってしまう。寂しいとは思うけれど不思議と彼女とはまた出会えるよまうな気がしてた。
「あー…もうこんな時間か…」
楽しい時間はあっという間に過ぎてそれぞれ帰路についた
帰宅すると家には一人ぼっちでとても寂しい気がした。繋は今日は帰りが遅くなる。夫からの連絡もきっと今日は来ない。
夕食を簡単に済ませリビングでぼんやりと過ごしていたら着信音が響いた
「ともくん。どうしたの?」
いつもはテレビ電話なのに珍しい
「ごめんね。今仕事が立て込んでて」
それはこの数日ずっと聞いてた。とにかく忙しくてなかなか会うことも出来なかった
「今度会う約束してた日なんだけど…無理そうなんだ…次もわからない…」
その時ともくんの後ろで若い男の声がした
「ともちゃーん!早く行こうよぉ…沢山楽しまなくっちゃ…ね?」
甘い甘い声。
「ごめん!」
ともくんが電話を切ろうとしたのか慌てた声だ
「もしもぉし」
急に聞こえた男の声に口籠る
「うっふふ…ともちゃんは俺のでぇす。もう連絡してこないでぇ」
電話越しでもわかるリップ音
「返せ!メグ」
「じゃあ!今すぐ別れるって話してよ!」
仲が良さそうだなぁ…そう思うとなんだか笑えてきた。きっと今別れの時期なんだ…ともくんは大丈夫…俺じゃなくても…わかっていたこと…何度も考えたこと…だって…俺となんて…未来ないじゃん?一緒にいたってともくん一人にはならないじゃん?そんでともくんにはたくさんの出会いもあって…ずっと…今もカッコいいままで…
「違う!違うからね!」
ともくんの焦った声…俺がすることは?そんなの一つ
「ともくん。大丈夫だよ、わかってる」
そう。わかってる。多分このメグさんって人が一方的にともくんを困らせてること。だってともくんの気持ちに嘘なんてないし。今どんな顔してるのか眼の前にいるように見える気がするし。
「よかった。ごめんね!また連絡するね」
「いいよ。無理しないで。大丈夫だから。じゃあ…楽しんでね」
「えっ!?ちょっと!?」
「ともくん。バイバイ。もう俺大丈夫」
そう言って電話を切った
「ともくんに…バイバイしなきゃ…」
好きで好きでたまらないけど…だって…ともくん…苦しいだけ。知ってるよ?本当はずっと自分一人を見て欲しかったこと…知ってるよ?本当に愛してくれてること…夫と…何度も何度も話し合ってること…
だから…きっとそろそろ…夫からも…
それがみんなにとって一番…俺が…一人になること…でもせめて…後少しだけ…一緒にいたかったな…
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