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第41話
その日は繋と顔を合わせることなく眠りについた。
なんか…もう…色々…いいかなぁなんて思いながら。
仕事が楽しい。今は仕事したい…恋愛なんてしたくない…。本当に自分勝手で傲慢な俺は一人でいなくちゃいけない。
翌朝何故か俺の隣に繋が寝てた
「つぐ?あれ?」
「おはよ…しーくん…一人で眠れなくて勝手に俺の部屋に運んじゃった。ゆるしてね?」
「ん。大丈夫…」
つぐの規則正しい心音に耳を傾け身を預ける
「何かあった?」
優しく俺を抱きしめ背中を擦りながら訪ねてくれた
「ねぇ。つぐ」
「うん。」
「俺ね…父さんとも、ともくんとも終わりにしようかなぁって考えてるの」
「うん。それで?」
昨日あったこと、ここ最近感じてきたこと、思っていたことを繋にゆっくり話した
「しーくんは平気?勿論俺や悠衣はどんな風になってもしーくんの息子で変わりはないけれど親父はともかくともさんと終わっちゃって大丈夫?」
「うん。ともくんはきっともっと素敵な人がいると思う。つぐもそう思うでしょ?」
「しーくんより素敵な人?そんなのいないと思うけど…まぁ出会いは今の状態じゃ少なくはなるよね。だけどさ、ともさんにとってしーくんが唯一の人でしょ…ともさんは平気かな?しーくんがいなくなって。そのメグって人ともさんにとっていいのかわかんないし」
「ともくんは強い人だからきっと平気。俺じゃなくても側に居たい人は大勢いる」
「…しーくんが決めたなら俺が言うことはないよ」
「うん。だからね…繋」
「わかってるよ。俺が卒業したら…でしょ?」
「うん。けどお父さんはちゃんとしてくれると思うから。繋のこと大切にしてるからね」
俺達から生まれたはずの繋は何もかもが規格外の子供だった。
俺も夫も容姿だけじゃなく他のことも平凡。けど繫は多分俺の曽祖父に似たのか容姿も頭脳も運動能力も全てが長けてた。だから夫や他の親族たちからの繋への期待はすごくすごく大きくて。けどそんなの繋には何のプレッシャーにもなってなくて逆にそれを糧にして伸び伸び育ってきたし全て自分のものにした。夫は悠衣にはあまり関心を示さなかったけど繫のことは本当に大切にしてきたんだ。だから大丈夫…
「つぐ。俺の息子でいてくれてありがとう」
「しーくんこそだよ。俺はずっとしーくんを愛してるからね」
「ふふっ。みんなに自慢できちゃうな」
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