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第44話
聖純くんが御手洗いのドアを開ける前に個室から出た。
「しおりさん。平気?飲みすぎちゃった?」
「ううん。大丈夫だよ。ちょっと眠くなっちゃってウトウトしてた」
「えぇ!?電車大丈夫です?送りましょうか?」
「何言ってるの?聖純くん家このあたりじゃん!平気だよ。歩けないわけじゃないし」
「これから二次会ですけど…」
「ごめんね。子供が待ってるから」
「そうですよね…わかりました。外まで見送りますよ」
「うん。ありがと」
同僚たちと店を出る。すると
「しーくん!」
そこにはなぜだか繫がいた
「つぐ?なんで?どしたの?」
「ん?言ってなかった?俺この近くで用事あって今になったの」
「そうだったんだね」
「一緒に帰ろ」
そう言うとつぐが俺を引き寄せた
「うわぁ!!咲坂さんの息子さんなんですか?めっちゃカッコいいすね」
若い最近入ってきた子がつぐをみるなり声を上げた。その声に反応してみんなわらわらとつぐと俺を取り囲む。目がハートになってる子たちもいて何だか複雑な気持ちだ
「父がお世話になっています」
お手本みたいな挨拶をして微笑むつぐは親である俺から見てもカッコイイ
「すいません。ここで失礼します」
つぐはみんなを見つめ微笑むと腰が砕けちゃった人がいた
「大丈夫ですか?」
その人をそっと抱え上げてる姿は王子様みたい
「はひっ…」
「おーい!大丈夫かぁ!?」
聖純くんがその人を受け取り声をかける
「大丈夫じゃない…」
「はいはい。すいませんね…えと…繫くんかな?」
「はい。貴方が聖純さんですね。父からよく聞いています。ありがとうございます」
そこまで言うとつぐが聖純くんの耳元に囁く
「…当然でしょ。しおりさんのためだから」
「じゃあ。今後ともよろしくお願いします」
つぐは俺の手を握ったままその場から俺を連れ去った
電車に乗ってもつぐは手を離してくれない
「つぐ。聖純くんと何話してたの?」
「ん?なんでもないよ…それより…虹彩さんにあったでしょ?」
「えっ!?その人も知ってるの?」
「当然でしょ…なら聞いたよね?」
「ああ…彼のパートナーと…って話し?」
「そう…」
「つぐは知ってたんだ?」
「…ごめん…」
「ううん。大丈夫。なんだかホッとしたんだ。あの人があんなに幸せそうなの見て…俺は傷つけてばかりだったから…」
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