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第49話

「しーくん!!」 俺の名を大きな声で呼んでバタバタとつぐが帰宅し、俺を抱きしめた 「しーくん…しーくん…ごめん…」 「つぐ。大丈夫だよ」 大きなつぐの背中を撫でながら笑った。俺と夫は別の道を歩く。成人した悠衣は自分で道を決められる。だから心配はない…つぐもあと数日で成人になるしきっと大丈夫… 「ねぇつぐ。俺がここを出ていったらつぐはどうする?」 「あと数ヶ月でどのみち俺はこの家から出る。咲坂のじいちゃんちの側にいるからしーくんには会えるよ。だけど親父には会いたくない…しーくんだけを一方的に悪ってするのはおかしいと思うしそんな親父のことは信用したくない」 「つぐさ。ともくんの今の現状知ってる?」 「…知ってる」 「やっぱり知ってたんだね」 「ごめん」 「だからともくんは大丈夫なのかっていう質問の仕方をしたの?  「うん…ともさんには今しーくんが必要でしょ?だから近いうちに真実を知ってここを出ていく気はしてたんだ…でも俺がしーくんから離れたくなくて…黙ってた…」 「…つぐは…学校までの距離が離れると困る?」 その言葉でつぐは察してくれたようだ 「たしかに大変だけど俺はしーくんから離れたくないから…ついていきたい…けど…ともさんは…二人で過ごしたいはずでしょ?」 「俺一人じゃ抱えきれそうにない…でも…つぐが一緒なら…だけど…つぐはとても大切なときだから…」 「勉強はどこでもできる。うちの高校は月に一度登校すればいいし授業もテストも家で受けられる。だから平気。しーくんを抱けなくはなるしともさんと抱き合うのを側で見るのは正直しんどい…けど…だからといって卒業まではしーくんから離れる選択は俺にはない」 「…メグさんに話してみるね」 その後メグさんに連絡を取った。仕事中なのか周りが騒がしい  「息子も…一緒にいいですか?」 「息子くん了承してくれたんだ?うん。俺は構わないよ。部屋はあるし。息子くん大丈夫なの?赤の他人の俺だけじゃなくて親の不倫相手と一緒に生活なんて…」 「…俺が…一人では抱えきれない…つぐは…おそらくすごく苦しいと思う…だけど…ともくんを放ってはおけないから」 「…同情?」 「そうかもしれない…だけど…」 「…同情でもなんでもいい…ともを…助けてくれるのなら…後で迎えに行くから荷物纏めておいてくれる?」 「わかりました」 「…あのさぁ…しーちゃんさ…硬いなぁ。俺はしーちゃんより年下よ?だし…ともをああしてしまった張本人…俺に…怒ってもいいのにそんなに固くならないで…俺が最低なの…認識しちゃうから…じゃね」 メグさんの電話を切って夫には連絡を一応入れて…電話は…出てくれないだろうから…家にいないことや今後のことも伝えて…長くなったメッセージを送るとすぐに折り返し連絡がはいった

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