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第54話

繫side するすると俺の手を撫でながら妖艶に微笑み上目遣いで見つめられる。本当に綺麗な人だと思う。きっと普通の男ならこれで落ちるだろう。 「手…おっきいね…」 「体でかいですからね」 「お父さんおっきいの?」 「いえ。しーくん側の高祖父が大きかったみたいで。顔とかもそこに似てるらしいです」 「ねぇ。繋くん。俺を抱かない?」 「抱きません」 「…だめかぁ」 「自分を軽々しく扱っちゃだめですよ。ね?」 「はいはぁい」 そう言うと体を離し笑った。力の抜けたそれは本当に可愛らしかった 「…やっと本当の笑顔見れました」 その後一緒に食事をとって沢山会話した。 話し疲れてウトウトし始めたメグさんに声をかける 「メグさん。メーグさん。お風呂入っちゃいません?」 「ん…やだ…声…聞こえるもん…」 「はいはい。じゃあ抱っこするので耳に塞いどいてください。」 「えっ!!」 ひょいっと抱き上げると驚いたように俺の首にしがみつく。目が覚めたようだ 「これじゃあ塞げないじゃん!!」 「照れてます?」 「照れてないしっ!!」 「耳塞げませんね。どうしましょっか?」 「おろしてよ!」 「えぇ…可愛いのに」 「ちょ!このっ!人たらしぃ!!」 「なんですか?俺のこと好きになっちゃいます?」 「うるさいっ!!もう!!大丈夫!いけるっ!」 「ははっ!!本当に…一人で平気です?」 「…ごめん…むり…一緒についてきて…」 「わかりました。痛み分けっすね」 「そゆこと」 部屋から出るとまだ少し声が漏れてた。しーくんの声はしないけどともさんのしーくんへの愛の言葉が何度も聞こえてきてた。小刻みに震えるメグさんの手を引きバスルームへ向かいドアを閉めた ぎゅっと俺に抱きついて涙を流すメグさんの背中を擦りながら髪にキスをした 「…もう…大丈夫だって…思ってたのに…」 小さな体を抱きしめる力を強めた 「大丈夫なときなんて来ないかもね」 「意地悪…」 「なんとでも。ほら入りますよ」 「脱がせて」 「かしこまりました。お姫様」 身に着けているものを一つ一つ脱がしていく。きれいな身体に痛々しい傷があった。 そっと跪きその傷に唇を寄せた 「ん…繫くん…」 「ともさんを守ってくれてありがと」 「当たり前でしょ…俺の…雇い主だもん…」 「この傷ごと愛させて…」 自分でも何でそんなこと言ったのかわからない。けどこれ以上色々考えたくなかった。

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