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第60話

社長は立ち上がり側に来た 「お前さ…どんな顔してるかわかってる?」 「え?」 俺の顎を掴み視線を合わせる。 「泣け」 「は?」 「…じゃあ泣かせる…」 社長は一気に近づき鼻先が触れるほど近くに顔を寄せた。 「あっ…えっ…ちょっと…」 そんなこと彼にされたことなんてなかったから変な声が出た。 「…っ…ちっ…んな顔すんな。バカ。お前忘れてんだろ?俺の初恋はお前ってこと」 「えっ!?初恋だったの?」 高校の卒業式確かに彼に告白された。高校でもとても目立っていて彼女もいたことがあったから何かの罰ゲームかと思って簡単に答えてしまった。 「あの時そう言っただろうが」 「…なんか…ごめん」 「はぁ?お前もしかして…」 「あぁ…えと…罰ゲームかと…」 「はぁ!?お前っ!!…まじかぁ…」 「いやだって…彼女いたからさ」 「まぁ…今更…あん時のこと言ってもどうしようもないし…俺を振ったんだ幸せになってくんないと困るよ。俺だけじゃなくいろんなやつがお前の笑顔が好きなんだから。な?…何かあったのか?友人として話しは聞くぞ」 「…俺仕事だけじゃなくてプライベートも咲坂に戻るよ。近いうちに」 「は?」 「俺が原因でね。」 「お前が?」 「うん。俺夫以外に交際している人がいるんだ。今はその人の友人の家に繋と一緒にお世話になってる」 「…そうか…まぁ。人生いろいろだな。けど俺はそれでもお前のこと特別扱いするぞ」 「ありがと…さっきの話…前向きに考えたい」 「わかった。無理すんなよ」 「うん」 「しおり」 「ん?」 社長は俺を抱きしめた。何も言わずただ静かにそっと背中をさすりながら。その優しい手に促されたみたいに涙が溢れた 「…おれ…最低…」 「大丈夫だよ」 暫くそうされながら静かに涙を零した。なんの涙かももうわからないけど今はだた静かにこうしていたかった 「なぁしおり」 「ん?」 「…相変わらず可愛いなぁ」 「オッサン相手に何いってんの」 「まず、顔きれいだし」 「それ気の所為。社長に言われても説得力ない。いつまで立っても目立つ顔してるんだから」 「相変わらずだなぁ。それにこの華奢な体つきも唆るよなぁ」 「この間までぽっちゃりだったの知ってるでしょ?」 「あれはあれで可愛かったよなぁ。また肉つけろよ」 「動けないもん…」 「そんで…」 そういってソファに押し倒された 「こうやってすぐに組み敷けることもなかなか抵抗できないとこも困ってにらみあげる顔も…全部可愛い」 「ちょっと…からかってないでどいてよ」 「…あぁ…無理かもなぁ」 そう言うと口付けられた

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