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第63話
繋side
俺はしーくんのことを親以上の感情を持っている。これは世間一般的に許されないことだということは重々承知してる。
けど本音を言ってしまうとしーくんを誰にも渡したくない…俺だけが縛っておきたい。俺がいないと生きられないくらい依存して欲しい…俺がしーくんを生かしていきたい…一生側で…言い方は悪いが飼い慣らしたい…誰にも触れられることなく見られることなくずっとずっと閉じ込めて…俺だけ見てて欲しい…
悠衣のしーくんに対する想いも本当の恋だった。けど…悠衣は…自分を見つめ直ししーくんのことを想い身を引いた。そして昔から仲が良かった矢夜くんとともに生きることを選んだ
悠衣は前に進もうとしている。しーくんを愛したままで…じゃあ…俺は…
このままで良いはずない。しーくんが本当に愛する人と進む道を後押ししてあげなくてはいけない…だから…話さないと…しーくんが愛している人と…
「ともさん…」
「…」
「しーくんのこと本気で愛してくれますか?」
「勿論」
ともさんはしっかり俺を見つめ即答してくれた。それは父がしーくんに向けていた眼差しとは違う。この人なら大丈夫。きっと体調が万全になればしーくんを守ってくれる…しーくんのやりたいことをやらせてあげてちゃんとしーくんの意見も聞いて二人で話し合いながら共に歩ける…大丈夫…大丈夫だ…もし…もしも万が一があれば俺が攫えばいい…だから…今は…この人を信じる…
「しーくんは親父と一緒にいて幸せそうに見えなかった」
「けど…彼は本当にしーさんを愛して…」
「確かに親父はしーくんを愛しているよ。けど…それはともさんがしーくんに抱く愛とは別物なんだ」
「どういうこと?」
「親父にはパートナーならばそうでないとならないという理想が強くあってね。結婚すれば相手は家にいないとならない。家にいて家事も育児も全て相手がすべきだって思ってるんだ」
「は?」
「時代錯誤も甚だしいでしょ?それだけじゃなくて他にも色々な約束事があった。親父は別に虐げているつもりもなかったんだろうけど仕事が好きなしーくんにとって仕事を取り上げられたことは結構きつかったんじゃないかな」
俺は見てきたんだ…仕事していたときの資料を親父の目につかないところに保管しててそれをたまに見直してること。次々と新しくなることを日々勉強してること。アイデアが次々と出てくると本当に楽しそうにパソコンに向かってること…仕事ができないことを残念に思いながらも親父の言うことに反論せず全て受け入れていること…
親父に出会って結婚してもそれでもともさんへの思いを断ち切れないからその罪悪感を払拭できず親父に反論なんて出来なかったのだ。
「しーくんは見た目がいいし人当たりも良くて親父に従順だった。側に置いておくにはしーくんがぴったりだった」
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