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第65話
繋side
これからする話はしーくんは全く知らない話だ。悠衣にも教えてない。けど当事者のともさんには話しておこうと思って口を開いた
「ともさんと出会って…しーくんは本当に幸せそうだった…それを側で見てきた俺はともさんを恨むことなんて出来なかった。寧ろ感謝してた。しーくんを開放してくれる相手が見つかった…ってね。なのに…親父は思っていた以上に強情だった。まさか離婚をしないなんて思わなかったんだ。それに…ともさんにまで手を出すなんて…」
「…知ってたの?」
「知ってたよ。何でそういうふうになったのかも…しーくんのためだからって上手いこと言って好みであるともさん言葉は下品だけどヤりたいっていう望みまで叶えた…」
「どういうこと?」
「親父は実はともさんのこと知っていたんだ…ともさんがしーくんと再会する前からね」
「えっ…?」
そうなのだ…知ってたのだ…あの女と訪れた旅行先で仕事で来ていたともさんを見つけて。身につけているものや車のナンバーからともさんを割り出した。
そしてともさんの動向を探っていたときにある店に行き着いた
「ともさんさ…ゲイバーに…キャストとして在籍してたでしょ?」
「何で…それを…」
「しかも…普通の店じゃない…そういう店…でしょ?義父から無理矢理やらされてた仕事」
ともさんのその話についてはしーくんは全てを聞いているはず。だけどまさかそこに親父がいたなんてしーさんもともさんも予想もつかなかっただろう。
あいつはクズだ…しーくんと結婚する前は確かに真っ直ぐで生真面目で一途で優しいやつだったんだと思うし評判もすごく良かったと聞いている。
なのに…綺麗なしーくんと結婚できたからなのかそれまでの真面目さが嘘のように箍が外れ男女問わず多くの相手と関係を持つようになった。一回だけという思いが2回、3回…そして数えきれない人数となっていった
しーくんは本当は何かおかしいと気付いていたけどやっぱりともさんを思い続けているという負い目があるから気付かないふりをしてきたんだ。勿論そんなことあいつは知らない
「でも、ともさんは人気キャストだったから結構金を積まないとともさんと会話すらさせてもらえなかった。だからともさんに雰囲気の似た男や女を買い漁っていた。流石にあまりにも行き過ぎていたから俺が偶然を装って親父の行くところに遭遇して何も知らないふりをして行くのをやめさせたんだ。それから大人しくしてたんだけど…ともさんを忘れたことはなかった…そしてそれから数年…あいつが落ち着いてられるわけなくて出張と言って家を開けては出会いの場に繰り出しその日限りの相手を見つけて楽しんでた」
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