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第68話

「ただいまぁ」 ともくんと長い間抱き合って身なりを整えた頃メグさんが帰宅した。 「先に食べててよかったのにぃ。みんなまだなの?」 「家主のメグさんいないのに先になんてできないし」 「そう?ごめんねぇ。思ったよりも最後の客が面倒でさぁ…一発ヤッてきたら遅くなっちゃった。へへっ」 「えっ!?」 「そんな驚く?しーちゃんスケベだねぇ。あっちと思ってるでしょ?俺そんなに安くないからね!しっかり話して納得してもらえたの。最後は感謝されて次の仕事も紹介してくれたよぉ」 「今日の案件って…俺が手こずってたとこだったよな」 「そうそう。あれあれ。相手が忙し過ぎて今日まで凄く時間かかったけどやっと会う約束に漕ぎ着けたんだよ。社長が納得するまで突き詰める人でさぁ。俺頑張った!あの人何考えてるかわかんないからやりにくいよねぇ…ってともちゃん…回復してるねぇ。ちゃんと目が生きてる!しーちゃんパワーすごっ!!こんなすぐ回復するもん?」 「覚悟決めたからな」 「くすっ…安心したよ。けど…俺が言うのもなんだけど…無理はしないでよ。一応仕事の資料持ってきてるけど目通す?」 「後で目を通す。ありがとう」 仕事の話をしているともくんのことは初めて見たけど真剣な眼差しがどうしようもなくカッコよくてやっぱりこの人がいいと思ってしまった。 幸せにできるのは自分ではないとわかっているのにやっぱり止められないんだ…他の誰かと関係したってこの想いを持てるのはやっぱりこの人にだけ…あぁ…もう…本当にどうしようもない。 不幸にすることは出来ても幸せにしてあげられないのに…俺と一緒にいたって地獄には連れてけても天国には行けないのに… 「メグ。色々とありがとう。苦労かけてゴメンな」 「ともぉ…ごめんね…ごめんねぇ…」 「ちょ…泣くなよ…悪かったって…」 「ともは悪くないじゃん!!俺があんなことしなきゃともはこんなならなかったのに…しーちゃんと早く会わせてあげればよかった…ごめん…ごめんなさい…」 泣き出したメグさんに困った顔をしながら見つめてるともくんの服の袖をつんっと引く。本当に…最低だ…泣いてるメグさんに触れて欲しくないって思ってしまっている。あぁ…本当に… ともくんはそれに気付くと俺の手を握ってくれた。それにものすごく安心した自分に嫌悪感を覚えたのにやっぱり自分のことしか考えていない俺はやっぱりおかしい。 泣くメグさんに手を差し伸べたのは繋だった。 繋はメグさんを後ろからそっと抱きしめると頭を撫でた。メグさんは繋に身を預け体の向きを変えると繋の胸に顔を伏せた ひとしきり泣いた後顔を上げたメグさんは凄く綺麗な笑顔だった 「あぁあぁ!もう!キャラじゃないのに!!お風呂行ってくる!」 赤くなった頬を膨らませながらドスドスと浴室に向かった 「あ!先に食べてて!!すぐ戻るからね!」

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