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第73話

悠衣side 先日しーくんに電話した時すごく元気がなかった。俺が聞いたって何でもないよって誤魔化しちゃうからその後繋に連絡を入れてみたら親父との離婚の話しをすすめ始めたらしい。 ずっとずっと待ってた朗報だった。 俺は今でもしーくんのことを愛してる。しーくんが他の誰かのものになるのは正直寂しい。けどしーくんをあんなに綺麗な笑顔にしてくれた相手なんだからきっと大丈夫…繋が言うから間違いないと思う。不思議だった。しーくんがあいつのものじゃなくなるなら俺が…そう思ってたのに何故かそうはならなくてあの人と幸せになる未来を願ってしまった… 「どした?悠衣」 「矢夜」 「ん?」 「しーくん離婚するんだって」 「そっかぁ…悠衣は…」 「言ったじゃん。俺はもうしーくんとは親子に戻るって。それに…俺には矢夜がいるでしょ?それともなに?矢夜…いい人できた?」 「俺には悠衣だけだよ」 「ありがと。矢夜。ちゅーして」 いつまでこうして矢夜といられるのかは正直分からない…最近矢夜は妙に色っぽくなってすごく綺麗になったんだ…休みの日は別々に過ごすことも増えたし泊り掛けでどこかへ行くことも増えた。…恋人でもできたのかな?俺とのことは恋でも何でもなかったから…友情が少しだけ捻れちゃっただけで。 「あのさ…悠衣」 「なぁに?矢夜」 「この関係…終わりにしたい…」 「は?」 「…ごめんね。俺ね…好きな人がいるの…ずっとずっと…好きな人が…」 あぁ…そっか…そうだったんだ…その人と幸せになってねっ! 言わなきゃいけないのに言葉に詰まった…苦しい…痛い…やだ、 「悠衣?」 「これまで…ごめん…俺がいたせいで…好きでもない俺と…ごめんなさい!!」   自分でも驚くくらい涙が出た。こんなの知らない…何で… 「悠衣!悠衣!落ち着いてっ!」 「ごめ…ちょ…」 息ができない…あぁ…もう…今更気付くなんて…矢夜はしーくんのかわりじゃなくって…俺…は… 「悠衣!悠衣!」

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