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第82話
「メグと出会ったのは昔働いていた時。その時俺は多くの人に買われてた。買われた後に義父に抱かれてた。義父に抱かれないとうまく眠れなくなってた。そんな俺の状況を知り動いてくれたのはメグとあと数人。彼らが俺から意識を逸してくれた。そんな時俺の母が亡くなってそれを期に義父との縁は切れた。始めはどうしていいか分からなくて毎日狂ったようにあいつを探したんだけど…そこも側にいて支えてくれたのはメグたちだったんだ」
「今お義父さんはどうしているの?」
「うん。俺に似た男や女を買って一緒に住んでいるみたいだ。その中に俺を助けてくれたやつもいる。」
「その人は平気なの?」
「あぁ。元々そういう趣向の持ち主でそのことを楽しんでるみたい。もしあいつに捨てられても生きていけるような強い人だし今も一緒に働いているけど活き活きしてる。頼れる部下だよ。しーさんと桜見に行った時覚えてるでしょ?」
「最後の日だね」
「うん。あの数ヶ月前に俺は今の仕事を始めたんだ。俺を助けてくれた友人たちと。彼らの中にはあの業界から抜け出したいのに抜け出せない人もいてだけど俺は彼等と先に進みたくて…金はあの仕事をしていて使い道もなかったからたくさんあったし。だけど余裕はなかったからあの車は手放してしーさん迎えに行ったあの小さな車に変えて。あのときは色んなところにどんなときでも迎えるように仕事の道具を随時助手席に積んでいたもんだからかなりきたなくて本当は隣りに乗って欲しかったんだけど乗せられなくて」
ともくんと初めて出会った時ともくんはとても大きい車に乗ってた。その時は助手席に乗せてもらえたのにそれから数年後俺が夫を選んで新しい生活を始めたある日の夜、久しぶりにともくんから連絡があって桜を見に行ったんだ。
ともくんとは最後だとけじめを付けたくて会いに行った。
あの日は俺が乗せてもらった大きな車から小さな車に変わっていて隣りに乗せてもらえなかった。
他に助手席に乗せるようないい人が出来たと思ってた。いいなぁって…ずるいな…って自分は結婚したにも関わらず嫉妬したものだ。そう考えれば俺は本当に自分本位で勝手だな。あの頃から一つも変わってない。
「しーさん」
「ん?」
「泣きそうになってる…メグには感謝はしてるけど…しーさんだけが特別だよ。それは信じて。」
「わかってる…ただ自分が情けなくて…どうしてあの頃ともくんのこと好きなままあの人と一緒になっちゃったんだろうって…あのときの選択はあの人にも不誠実だったな…俺がこんなだから…あの人は変わってしまった…俺のせいで…俺と一緒になってしまったせいで…」
「しーさん。しーさんは悪くない。俺がもっと素直になってれば…俺初めて話したときからしーさんのこと誰よりも特別だったのに…嫌われるのが怖くて言えなかったから…結婚なんて辞めてって言えなかったから…あの日連れ去ってれば良かった…」
俺もともくんもあのときは精一杯考えて精一杯悩んで選んだ道だった。あのときは自分たちの選択はきっと間違えではなかったと思う。
離れたから…うまくいかなかったから今こうしていられるのだと思うから…何だか気持ちが沈んで二人してうつむいた
「ちょーっと!!なぁんでそんな辛気臭い顔してんのさ!!」
メグさんの声ではっとする、
「なに?喧嘩?っぽくはないね。何でそんなんなっちゃったの?」
「アハッ…ごめん。メグさんに少し嫉妬しちゃった」
「えぇ!?なんでよぉ!!んもう!可愛いんだから」
そういうとメグさんは俺の元へやってきて俺を抱きしめた。そしてニヤリといたずらに笑うと俺の顎を掬い唇を重ねた
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