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第84話
それから数日虹彩さんから連絡が入る。指定された場所に向かうと笑顔で手を振る彼がいた。
「久しぶり」
「こんにちは」
「少し移動しようか」
促され歩きながら会話する
「あの後彼から連絡は来た?」
「いえ」
「そうか。…実はねこの間も話してたんだけど会わせたい人がいてこの店で待ち合わせなんだ」
あの料理屋さんとはまた違うおしゃれなカフェだ。ここも個室になっていてみてすぐに高級な店ってわかった。
「もうすぐ来ると思うんだけどね」
部屋に入り腰を落ち着けた直後に一人の男性が現れた。
「虹彩。遅くなってゴメンな。初めまして。しおりくんだね」
「はい」
「今回虹彩に依頼されて君の弁護士をすることになった清華だ。よろしくね」
そういえばお願いしていた弁護士さんから連絡が来てた。依頼を受けたからには最後まで責任を持つって話をしていたけど状況が変わって急遽別の人を用意したって。
背の高い虹彩さんよりもまだ背の高い美丈夫だ。思わず見つめてしまうと微笑まれた
「クスッ…お前の言ってた通りすごく可愛い子だね」
「だろ?人のモンだから手出すなよ。お前手が早いんだから」
「流石に弁えてる。急にごめんね。元々君が依頼していた子はうちの事務所のエースなんだけど君が虹彩の知り合いって聞いたのと虹彩から頼まれて敢えて変わってもらったんだ。あいつは最後までやり遂げる実力もあるからそのままでも良かったんだけど俺が無理言ってね」
「そうなんですね」
「それで引き継いだ件なんだけど」
そう言って書類を取り出すと見せてくれた。
「これ…」
内容は全て俺のプラスになることばかりだった。俺の不貞でそうなったのに
「なんで?」
「これが相応のことだからだよ」
それからいくつか説明を受けて理解し気持ちがすっと軽くなった
「この内容ですすめていい?」
「はい。お願いします」
ゆっくりと頭を下げると清華さんは仕事の顔で頷いた
「さてと…よしっ!おしまい!しおりくんこの後忙しい?」
「いえ。」
「虹彩」
「ん?」
「しおりくんとご飯食べたい」
さっきまでと違う声と表情で甘えたように虹彩さんに身を寄せた
「しおりくんがいいなら別に構わないけど」
「しおりくん。いい?」
「はい。大丈夫です」
「やった!じゃあ!俺のおすすめを頼んでいい?」
店員さんに注文をすると清華さんは虹彩さんにぴったりと寄り添い頭を肩に預けて手を握った
「清華…それやめろ」
それをうざったそうに虹彩さんは払い除けた
「えぇ…いいでしょ?」
「うるっさい…」
「お二人はすごく仲がいいんですね」
「うん。幼馴染でね。虹彩は俺の想い人なんだ」
「えっ!?」
「けど虹彩にはどうしても忘れられない人がいて…」
「余計なことをいうな」
「どうせ虹彩の思いは届かないんだからさ俺にすればいいのに頑固でね」
「あれだけとっかえひっかえしておいてよく言うよ」
そんなやり取りをする二人の仲が本当にいいのがわかってすごく楽しい食事だった。
「お似合いですよ」
そういうと虹彩さんは困ったような顔をして笑った。
その後二人にお礼をして帰宅した
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