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 リスオが緊張しながら待っていると、キングは観念したような顔で、口を開く。珍しくうっすらと頬が染まっている。 「じゃあ、ちょっとだけ、いいか? 少し挿れるだけ……」 「うん……」  中途半端に煽られた状態でいる方が辛い。それに、とにかく今は、キングと心も体も結ばれたかった。 「傷に障らないようにするから……、一回だけだから……」  キングは徐々に息を荒くしながら、リスオの首筋に優しく歯を立てる。肌が快感で泡立った。 「ん、んっ……」  彼は口づけの傍ら、器用にリスオのパジャマを脱がしていく。あっという間にリスオは裸になった。同じように、キングも上半身の服を脱ぎ捨てる。彼は、まだ温もりの残る布団にリスオと共に移動した。  キングはまず仰向けになったリスオの股間に顔を埋め、熱烈に口淫を施す。彼はこの前戯が特に好きなようで、いつも飽きるまで舐め尽くすのだ。そのせいで、リスオも、この愛撫がないと物足りない身体になってしまった。柔らかい上下の唇に肉棒を挟まれ、亀頭が暖かな粘膜に包まれる。ぬぷぬぷと出し入れされると、得も言わぬ快感が湧き出して、すぐ酔いしれてしまった。 「っ、ふ、あ、あぁっ、アーッ……っ」  久しぶりの愉悦に、あっけなく白蜜を弾けさせる。  キングは、まだ息の整わないリスオを四つん這いにした。リスオは、ふさふさのしっぽをピンと伸ばし、羞恥に身を震わせる。 「や、待って……この体勢……っ」 「どうした、辛いのか? 仰向けだと、慣らす時きついと思ったんだが」  背後からリスオを気遣う低音が響く。 「そうじゃなくて……。恥ずかしいよ……」 「それだけか。じゃあいいな。照れるなんてかわいいやつ」 「や、良くない……っ」 「痛かったら言えよ。……気持ちよくても、教えてくれ」  むっちりとした尻が、キングによって左右に割られた。薄紅色に色づくそこを見て、キングはうっとりと溜息をつく。 「綺麗だな……。緩んでいる感じもしない。良かった、安心したよ……。ラインに書いていた通り、本気でアナル開通していたら、どうしようかと思った。どうやら、俺が初めての相手で間違いなさそうだな」 「や、ばか、言うな……んっ、んん……」  彼の長い舌が、皺を集めたリスオの恥部に、丹念な愛撫を始めた。とたん、びりびりとした愉悦が背筋を駆け抜け、果てたばかりのリスオの桃色の肉茎が、また漲{みなぎ}った。 (そんなとこ、誰にも触らせたことないのに……。キングに見られてる、舐められてる)  しかもそれが全く嫌ではない。むしろキングのような逞しく雄々しい男に求められて、喜びで胸がいっぱいになる。 「んっ、ん、あっ……あっ」 「声、可愛いな。もっと聞かせてくれ……」  キングは長い指と唾液を駆使して、まだ青い肉筒を丹念に柔らかくしていく。 (ダメ、中……気持ちいい。どうしよう、後ろをいじられるのは初めてなのに、感じてる……)  勝手に腰が動いてしまう。後ろのキングも興奮しているのか、汗に混じった彼の甘いフェロモンが濃く香る。 「尻が揺れてるな。まだ触っていなのに、もう前がぬるぬるだぞ……。気持ちいいのか?」 「いや、言わないでっ……ん、あっ」 「素直じゃないな。そういうとこ、めちゃくちゃかわいい」  くくく、と彼が笑う。尻たぶをべろりと舐められると、電気のような快感が走り、リスオの尻尾の毛が逆立った。 「あっ、あんっ」 「尻、たまらないな……。ふにふにして、柔らかい。マシュマロみたいだ。リスオの中も……すごくきつい。綺麗なピンク色だよ。これからここに入ると思うと、想像しただけでゾクゾクする」 「んっ、話さない、で……あ、あぅ……アッ!」  こりっ、とキングが蜜筒の奥に潜んでいた、小さな膨らみを押しつぶした。肉胡桃を指で挟まれ、くにゅくにゅと刺激されると、今まで感じたことのない愉悦に襲われる。 (なに、今の……) 「あぁっ……そこ、だめっ」 「前立腺だよ。感じるだろう? ここだけで一回イけるかな……」 「あ、むり……ふぁ、ああっ」  細腰が跳ね、脳内が白くぼやけてくる。 (だめ、もう我慢できない……っ) 「びくびくしてるな。ほら、イけよ」 「んっ、ふ……あ、アッ――……!」  一際強く肉胡桃を刺激されて、リスオはあっけなく弾けた。全身を焼くような愉悦が駆け巡り、膝が震える。リスオの紅茶色の瞳は、今まで感じたことのない悦楽に涙を溜めていた。 (後ろでイっちゃった。気持ち良かった、すごく……)  荒い呼吸を繰り返していると、キングが崩れそうになるリスオの腰を抱えた。そこにトゲトゲ男根の先端をぴたりとつける。  熱い感触にハッとして、リスオは振り向いた。そこにはいつの間にか服を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿となった彼がいた。  キングは膝立ちになり、整った顔をうっすらと染め、赤い舌で唇を舐めている。スミレ色の瞳が欲望に濡れていた。その双眸と目が合うと、リスオはドキッと心臓を跳ねさせる。 「いくぞ……」  彼も緊張しているせいか、何度も掌を太股で拭っている。額に、たてがみを連想させる金の髪が貼り付いていた。 「う、うん」  リスオはごくりと息を呑む。 「痛かったら言うんだぞ。……一応止めるようにがんばる」 「分かった。でも、お願いだから……止めないで」 「……っ、そういう可愛いこと言うなって」 (とうとう一つになるんだ、おれたち。やっと、やっと……キングと愛し合える)  喜びと、未知への期待と、不安がない交ぜに鳴り、リスオの胸は高鳴っていた。そしてとうとう、ゆっくりと彼の剛直が入ってくる。肉筒を割って亀頭が押し込まれ、徐々に太い幹部分が敏感な蜜壁を征服していった。 (うっ……)  初めて経験する圧迫感と、異物感。しかし、彼が丁寧に慣らしてくれたお陰で、痛みはない。 「……っ、かなりきついんだな……。それに、めちゃくちゃ熱い……。リスオ、力を抜いて」 「んっ、ん……」  キングがあやすように背中を撫でる。汗の浮いたリスオの肌が震えていた。彼は粘膜が熱棒に馴染むのを待ってから、ゆっくりと抽挿を始める。突起に覆われた幹が、敏感な蜜壺を刺激しながら通り過ぎる。とたん、言葉にならない悦びが沸き起こり、身体が燃え上がった。 (嘘。だんだん気持ちよくなってきた……)  リスオは半目で、与えられる快楽に酔った。先程達したばかりだというのに、自身のものはすぐに力を取り戻し、愛液を垂らしている。ぱちゅ、ぱちゅといやらしい水音が結合部から鳴った。 「素質があるな。上手だぞ……なかが吸い付いてくる」 「ん、あっ、あっあぁ……っ、キングの、硬いぃ……」 「可愛いリスオ、俺の運命の人……。お前以上の相手は決して現れない。なあ、このまま番{つがい}契約を結んでいいか?」  キングが甘いテノールで囁いた。 (番契約……!)  リスオはハッと息を呑む。  番契約とは、身体を重ねている最中に、相手のうなじを噛むことで成立する、原始的な結婚契約だ。半獣人の世界では、婚姻届以上に重要視されている。ケモノの血同士で結ぶ取り決めのため、一度番えば、決して伴侶の交換は出来ない。  その究極の愛の誓いを、キングはしようとしている。 「どうか、いいと言ってくれ。俺にはお前だけなんだ……」  背後から抱きしめられて、リス耳を甘噛みされる。 (嫌なもんか。おれだって、キングの為なら人生を捧げても良い)

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