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 リスオは迷わなかった。緩く揺さぶられながら、こくこくと頷く。そして、濡れた瞳で彼を振り返った。赤橙色の双眸がまっすぐキングを捉えた。 「して、お願い。おれをキングの運命の番にして……!」 「いいのか……?」 「いいに決まってる。おれだって、キングが大好きだから……っ、あっ、あんっ」 「そういう男前なところ、大好きだぞ……。愛してる。一生大切にする。リスオについていける男は、俺しかいないからな」  嬉しそうにキングが微笑んだ。紫水晶のように輝く眼が糸になる。その少年のようなあどけない表情に、リスオはキュンと胸をくぼませた。 (おれの可愛い人……。キング) (大好き……) 「じゃあ……噛むぞ」 「う、うん……。……あっ、あんっ、待って、急に激しっ……!」  うなじに湿った息を感じた瞬間、ガリッとキングが肌に噛みついた。同時に熱烈に腰を送り込まれる。最も感じる場所をグリグリと押し上げられて、リスオは三度目の絶頂を味わった。また蜜液が迸{ほとばし}る。 「痛{いた}っ……、あ、あぁっ、あぁ――……!」  鋭い歯に肌が引き裂かれたはずなのに、じわりと身体の芯が暖かくなる。噛まれた部分から、キングの愛情としか思えない何かが流れ込んでくるようだ。 (これが、番契約……。永遠{とわ}の誓い。嬉しい、嬉しいよ……っ)  背中越しに、キングが「うっ」と呻いたのが聞こえた。腰を掴む手に力が入り、数秒後、灼熱の奔流を最奥で感じた。荒い息づかいの彼に煽られて、リスオもびくびくとまた軽く達する。 (すごく気持ちいい……! 今おれ達、一つになってる。身も心も、キングと結ばれてる……)  本能としかいえない部分で、リスオはキングと永久に結ばれたと感じた。心の奥が湯で満たされたかのようにぽかぽかしてくる。  キングはずるっと男根を抜くと、リスオをひっくり返し、布団に仰向けにする。そして華奢な脚を割り、まだぬかるむ秘部に再び楔を打ち込んだ。彼の男根は達した直後だというのに、もう天を仰いで膨張している。 「リスオ……。これでお前は俺のものになった。もう嫌だと言っても離さないからな。ずっと俺の側にいろ」  彼が情熱的なキスを降らす。ねっとりと舌を吸う傍ら、トゲのついた屹立で肉壺をかき回す。絶妙な腰使いだ。彼は片手でリスオの薄い胸をこね回した。尖った桃色の乳首をピンと弾き、摘まんでくる。次々繰り出される性技に、リスオは喘ぐしか出来なくなる。 (どうしよう、おかしくなる。感じすぎて、ヘンになる……)  射精感がまた一気に高まってくる。ぬちゃぬちゃと淫らな音がこだました。 「あぁっ……あっ、はぅ……アッ、あぁっ……。キング、キングっ。イっちゃう、またキちゃう……!」 「イけよ。イく時の可愛い顔、俺に見せてくれ……」  キングがリスオの肉茎を扱いた。手筒の中で粘り気のある蜜汁が泡立つ。ようやくそこを触られて、リスオは痛いくらい感じた。 「お前となら、いくらでも出来る。それこそ百回でも、二百回でも……。怪我が治ったら、しような。ドライでイけるように仕込んでやるから……。四六時中、リスオを抱きたい……!」  甘いテノールが囁いた。それが最後の一押しとなり、もう何度目か分からない絶頂に襲われる。 「あんっ、だめ、だめっ……キング……ああぁ――……!」  リスオは逞しい首に腕を回した。アメジストのような眼が欲で潤んでいる。二人は相手の瞳を見詰め、互いしか映っていないのを確かめ合う。そして同時に果てた。腹の奥に熱いマグマを感じる。 (キング……) (大好き、キング……。おれ、今世界で一番幸せだよ……)  部屋に二人の荒い呼吸が響く。お互いの汗が布団に染みている。 「リスオ、ありがとう。すごく良かった。お前のこと、もっともっと好きになった……」 「ん……。おれも、好き」  リスオは気だるい中、ぼんやりした頭であることを思い出した。 (そうだ、あれを言わなくちゃ……)  二人の運命の同棲生活の始まり――そう、彼の妹達へのクリスマスケーキのことだ。リスオは、イブ当日キングと会えるかどうか分からないのに、約束のケーキを完成させていた。今も冷蔵庫の中で出番を待っている。 「ねえキング……」  喘ぎすぎて掠れた声で、彼の名を呼んだ。 「どうした……? 疲れただろ、少し寝ろ。身体、綺麗にしといてやるから……」  キングがそっとリスオの中から出ていき、隣にごろりと寝転んでくる。額や頬に唇の雨を降らせながら、彼はリスオの柔らかな髪を優しく梳いた。二人は脚を絡ませて抱き合う。  幸福感に満たされて、見詰め合っていると、だんだん眠気が襲ってきた。 「ん、ありがと……。ねえ、起きたら……ケーキ食べようね」 「ケーキ……? もしかして、作ってくれたのか」 「うん……。一生懸命焼いたから、きっと美味しいよ」 「リスオのケーキは何だってうまいよ」  キングが、リスオのマシュマロのように柔らかな頬を、ぷにっとつつく。 「ふふ……。妹さん達に渡せなくてごめんね」 「ばか。全部俺のせいだろうが……。そうだな、じゃあまた来年同じものを作ってくれるか? 俺の実家で」  ちゅっ、とキスされすぎて赤く腫れた唇を、キングが吸った。 「えっ……」 「家族に紹介したい。人生の伴侶だって」 「それって、つまり……」  リスオの頬が段々林檎色に染まっていく。 「結婚しよう」  キングがじわりと目を細めて微笑んだ。二人は指を絡めて手を繋いだ。 (嬉しい……。信じられない、キングがおれに求婚してくれるなんて)  突然のプロポーズに、目頭が熱くなっていく。こんなに幸福な瞬間が人生に訪れるとは、失恋した当時は全く思わなかった。 (生きていて良かった。前を向いて歩いてきて、良かった。おれは間違っていなかった……!) 「俺の妻になってくれ、リスオ」 「……っ」 「こら、返事は?」  キングが甘く目を細めた。 「うん、うんうん……っ」  リスオは何度も首を縦に振った。胸が一杯になり、上手に言葉が出てこない。必死に頷くその姿を見て、キングが実に嬉しそうに笑みを零す。 「オーケーってことだな。ありがとう。幸せになろうな、リスオ」 「キング、大好き」 「俺も……愛してる。メリークリスマス」 「ん。メリークリスマス」  二人は甘いキスを交わす。その口づけはいつまでも終わらなかった。  リスオはいつの間にか、彼の暖かな腕の中で、幸福な夢の世界に落ちていた。  

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