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第26話 全部を受け止めたいから★

「ん……」  蓮香のキスは気持ちいい。意識をとろとろと溶かすようにゆっくりと、確実に熱を上げていく。  彼の様子からまさかとは思ったけれど、身体で慰めることで落ち着くのなら、祐輔は受け入れようと思った。体調も万全ではない。けれど今は気持ちを優先したい。  舌を絡ませる深いキスを交わしながら、辛かったな、もう大丈夫だ、という気持ちを込めて蓮香の背中を撫でる。  蓮香も言葉にはしなかったけれど、彼の触れ方で祐輔を慈しみ、愛したいという気持ちが伝わってきた。 「……っ、んっ」  祐輔の背中が浮く。服の中に蓮香の大きな手が入ってきて、肌の上を滑って胸を撫でられた。その間に上に来た蓮香は、祐輔の片手を指を絡めて握り、空いた片手で胸の突起を指で擦る。 「んん……、ぁ……っ」 「気持ちいい? 祐輔さん……」  キスどころじゃなくなって喘ぐと、上擦った声の蓮香がそう聞いてきた。その間も休むことなく胸の粒を弾かれ、祐輔は意識が少しずつ遠のいていく。 「ん……っ、いい……気持ちいい……っ」  祐輔は空いた手を伸ばし、蓮香の服の中に手を入れた。そういえば、蓮香もここは感じるのだろうか、と服を捲りあげ、小さく尖っていた胸に触れる。 「……っ」  触れた瞬間、フッと息を吐いた蓮香の顔が顰められた。蓮香も感じるのなら、とそこを撫でていると、彼は声を上げる。 「ああ……ヤバい祐輔さん、それすげーいい……」  そう言ってキスを一つ落とした蓮香は、起き上がって服を脱ぎ始めた。上半身裸になると、祐輔の上半身も同じように脱がせる。  その時に見た蓮香の下半身が完全に膨らんでいたのを見て、祐輔は身体が熱くなった。自分で興奮してくれているのは間違いない。それが嬉しいと感じたし、蓮香の熱が欲しいと思ってしまう。  自分がこんなに快楽に弱く、淫乱だなんて思いもしなかった。乳首だけでイケる身体なのだから、そもそもそうだっただけの話か、と開き直る。  分かってくれるひとが一人でもいるのなら、それでいい。それが蓮香なら、尚いい。  蓮香が祐輔のズボンを脱がしながら言った。 「今度、動画で着ていた下着を着けてしたいです」  色んなエロい下着持ってましたよね、と言われ、祐輔は頷いた。 「また今度な」  そう言うと、お互い全裸になって再びキスを交わす。キスをしながらまた胸をいじられ、祐輔の腰が動くと、蓮香の熱と自身の熱が擦れた。 「っあ! キスしながらは止めろって……っ」 「……ふふ。祐輔さん、すぐそれどころじゃなくなっちゃいますもんね」  かわいい、とさらにそこを指で弾かれ、ゾクゾクする身体を止められずに蓮香の二の腕を掴む。するとあっという間に頭が真っ白になり、ビクビクと身体が震えた。 「──ッ!!」  声もなく悶え、蓮香の腕に爪を立ててしまったと戻ってきた思考でそう思っていると、蓮香はおでこにキスをしてくる。  祐輔さんのイク時の顔、すごく下半身にきます、と耳元で囁かれ肩に力が入った。一体どんな顔なんだ、と思うけれど聞くのは恥ずかしい。 「……今も少しとろんとしてて、かわいいですけどね」  ね、もう挿れていいですか? と聞かれ、祐輔は頷いた。前戯もそこそこだけれど、祐輔も早く蓮香と繋がりたいと思っていたので、膝裏を持ち上げた蓮香に素直に従う。 「……やっぱローションないと厳しいか。少し待っててください」  祐輔の後孔を覗いた蓮香は、ベッドを降りてどこかへ行ってしまった。すぐに戻ってきた蓮香は、その手にローションとコンドームを持っている。 「おま、何でそんなもん持ってるんだよ……」 「祐輔さんといつでもできるように、持ってきてました」  用意周到と言うべきか、頭の中はそればかりかよと言うべきか。祐輔は再び脚の間に入ってきた蓮香を睨んだ。顔が熱いので、威力はないかもしれないけれど。  蓮香はローションをたっぷり手のひらに出すと、それを祐輔の後ろに塗りつけていく。時折指が中に入り込み、その焦れったい行為に堪らなくなり、祐輔はキスをせがんだ。 「……んっ、んん……」  蓮香に両腕で抱きつくようにし、祐輔は目の前の顔を見上げる。形のいい目は祐輔をずっと熱を帯びた視線で見ていて、その視線にゾクゾクした。 「あっ、入っ……」  彼の長い指が入ってくる。背中がぞわりとして、それに連動したように後ろが指を飲み込んだ。すごい、と感嘆の声を上げた蓮香は、そのまま祐輔の中のある箇所を軽く刺激する。 「……ふっ、ぅん……っ」 「祐輔さん分かりますか? 抜く時に俺の指を締め付けて離さないの……」  蓮香の指が動く度、祐輔の中でじんじんと熱が溜まっていき、祐輔を悶えさせる。早く溶け合いたくて祐輔はまたキスをねだるけれど、蓮香の唇は少し祐輔の唇に触れただけで、上半身を上げてしまった。 「……なに……?」  蓮香の顔が笑っている。それは少し悪戯心が見え隠れしていて、嫌な予感がした、その時。 「……っあ!」  蓮香の顔が前触れもなく下半身に埋もれた。温かい粘膜に祐輔の切っ先が包まれ、一気に意識が遠のく。 「あっ、や、め……! ……あぁ!」  じゅぽじゅぽと、蓮香は容赦なく責め立てた。後ろも前立腺を優しく押され、祐輔は訳がわからなくなって首を横にブンブン振る。  前と後ろの同時責めに、太ももがブルブル震えて膝が勝手に伸び縮みしていた。腰がうねり、それを止めようと踵をベッドに着いた瞬間、後ろから一気に快感が全身に広がり、腰を浮かせて絶頂する。 「あ、……ああ……!」  ガクガクと身体の震えが止まらなくなった。はあはあと激しい呼吸をして下半身を見ると、蓮香はまだしつこくそこに吸い付いている。後ろも変わらず責められ、どうしようもなく興奮した。  この感覚は何だ? と訳が分からなくなる程の快感に、祐輔は戸惑う。どこまでも堕ちそうな感覚に恐怖を覚え、祐輔は堪らず叫んだ。 「はす、……蓮香っ、またイク! ……嫌だ! おかしくなる!」  ビュル! と蓮香の口内で祐輔の熱が爆ぜた音がする。再び頭が真っ白になり、息をすることもままならず、身体が大きく痙攣した。苦しいほどの快感。  ビク、ビクと身体を震わせ熱を蓮香の口内に放ってしまうと、頭がクラクラした。脱力してぐったりしていると、蓮香は祐輔の雄を丁寧に啜り上げ、そのまま飲み込む。何をしているんだ、と言う気力もなく彼を見つめていると、彼は眉を下げて笑った。 「……これで、祐輔さんが誰の身代わりでもないって、信じてくれますか?」  祐輔は一瞬我を忘れて乱れたことが恥ずかしくなり、両手で顔を隠して、こくりと頷いた。

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