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焼肉居酒屋を出て、繁華街を歩く。 終電間近になってもまだまだネオン街はひと気が多い。 どうやって栄治郎を負かしてやろうかと考えながらフラフラと歩いていたビー助は、なにもない所で急に足がもつれて転びそうになった。 「あぶね…!やべ、ユル子の言うこときいて酒ほどほどにしときゃよかったかも…」 やはり呑みすぎたらしい。 さっきから足元がふわふわしているし、あたまもうまく回らない。 「あ、お会計したっけな…って、うわ!」 尻ポケットからレシートとお釣りを探そうとして誤ってスマホを落とし、パシャン!と小気味良い音を立てて画面が割れる。 「ぎゃはは!割れちまったあ!!」 先日機種変更したばかりのmyPhone14だったが、酩酊したビー助は「あれ…電源付かねえなあ…まいっかあ!」とポケットにしまい直した。 酔いから覚めた時にどれだけ嘆くことになるか… 「おっと栄治郎栄治郎…」 ふ、と横道に入った栄治郎のあとを追いかけ、 立ち塞がる影にそのまま殴りかかった。 「先手必勝!アルコールパンチぁ!」 ワンパンでノしてやる!という気合いで殴りかかるビー助。 だが栄治郎に避けられてバランスを崩し、床にどちゃあっと潰れた。 「やるじゃねえか…っぶ!!?」 立ち上がって下から突っ張ろうとしたが、強烈な張り手を食らう。 路地裏の壁にドン!とぶつかるビー助。 「ギャーギャーうるせえんだよ」 「ひっ!?」 「ぽっと出の頭ユルユルちゃんにおれの一位譲るわけねえだろ」 栄治郎…!?さっきとキャラ違くない!? さっきは黒縁眼鏡の勤勉スーツ君だったじゃん!? 息のかかる至近距離で、ドスを効かせた低音で話す栄治郎。 眼鏡を外し、切れ長の鋭い目でビー助を射殺さんとしていた。 ついさっき張り手をされたせいでまだ痛む頬をピタピタされる。 ビー助は「やめろよお」と手を払ったが、酔っ払いの静止など効くわけもない。 栄治郎は嫌がらせのように、ビー助の無傷な側の頬を数回叩いて虐めた。 「やめ…やめ…やめろって!」 「おっと…」 負け犬の遠吠え。 ビー助はアルコールと痛みでふらふらしながら吠える。 「おれのほうがナンバーワンだし!」 「うるせ…あのなぁ前回も前々回もこの俺、栄治郎サマが一位だったわけ。おまえは新人らしく"下"に収まってろよ」 「ナンバーワン・タチ男優はこの俺だっつーの!」 「おまえどっちかっていうとネコのほうだろ」 「ちげえし!タチだし!」 「ギャンギャン吠えやがって…おまえはネコだって」 「タチだし!」 「ネコだ」 「おうおう!じゃあ証明してやらぁ!」 「あ?」 「どっちが真のタチか!勝負だ!!」

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