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第45話 二の怪11
やつが学校の校門前に現れるまで、俺達は今まで通り、南の後をついて南を家まで見送る事にした。
まだ、何があるか分からないし、南も不安そうだったからだ。
案の定、やつは、南の周りをウロチョロとしたし、良い判断だった。
南の降りる駅から南の家までは、主に平川がついて行った。
何だかんだで、平川が一番南を心配している様に思える。
さて、この計画は、しばらくして実行に移された。
やつが学校の校門前に現れたのである。
やつの姿は教室の窓から確認できる。
窓から、ストーカー男を見下ろしながら、ついに来やがったと俺達の拳に力がこもる。
南はやたらと慌てていた。
授業が終わり、帰るだけの雰囲気に包まれた校舎の中。
俺達は学校の玄関ホールの下駄箱の前に集まった。
「南、大丈夫か?」
緊張した面持ちの南に、友人の一人が声を掛ける。
南は、青白い顔を俺達に向けて「大丈夫だよ、行ってくるぜ」とそう言って、カチコチに動きながら一人で玄関を出て行った。
南を見送った後、俺達は、グループチャットをそれぞれ確認する。
俺達を先回りして、やつを見張っている友人と連絡を取る為だ。
『今、南が出てったから』
玄関ホールにいる友人の一人がそう、グループチャットで報告すると、外の友人から、『ラジャー。あの帽子の男は、まだ校門の前にいるぜ』と返信が来る。
『了解。俺らもそっち向かうわ』とは、俺の隣にいる友人のメッセージ。
俺達は、スマートフォンから顔を上げて頷き合う。
その中には勿論、平川も葛もいる。
俺達は校舎を出ると自然とバラバラになって歩き出した。
前を向けば、南がぎこちない動きで校門に近付くのが見える。
俺は、歩く速度を少し落として南との距離に気を付けた。
南が校門を出た。
『緊張する』
グループチャットに南のメッセージ。
『俺がついてる!』
全員が同時に同じメッセージを南に向けて送った。
頑張れ、とか、大丈夫、とかじゃなくて、ただ、俺がついてる、と。
何やってんだ、俺達。
こんなのが励ましになるのか。
自分で言っておいてそう思った。
ストーカー何て訳の分からないものに脅かされてる南が、こんな言葉でどうにかなるなら万々歳だろ。
南から返信が来た。
『助かる』
何処か力の入ったそのメッセージを、目を見開いて見た。
どうやら、俺達は、少しは南の励ましになっている様だ。
俺の口角が自然と上がった。
俺のやる気にさらに火が付いた。
あのふざけた帽子の男を必ず捕まえてやる。
手の中のスマートフォンに目を向けると、先に外にいた友人達から、早速のメッセージがグループチャットに入っていた。
『あの男、校門を出た南の後を付けてるぜ』
『南と距離を置いて後を付けてるな』
『絶対に捕まえてやる』
そのメッセージを見たらしい平川からグループチャットに書き込みが入る。
『南、このまま、やつを袋小路まで誘うんだ。普通に歩いていれば良いから』
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