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第6話

 こんなに屈辱的な行為が他にあるのだろうか。もし俺がスパイで、敵に捕まってこの拷問を受けたのだとすれば、たぶんどんな秘密でも話してしまっている。 「うっ……ひどいっ……何で俺が……」  情けないかも知れないが、ボロボロと涙まで零れてくる。だってあり得ないだろ。見知らぬ男にいきなり監禁されて、目の前で排便させられて、今はウェットティッシュで尻を拭かれているなんて。 「泣いている顔も可愛いよ。これから色んな表情を見せてね」  頭がおかしいどころじゃない。こいつは……きっと、たぶん、人間じゃない。悪魔よりも酷い。地獄に落ちて閻魔様に裁かれる方が100倍マシだ。もう今すぐ殺してほしい。俺でもこいつでも、どっちでもいいから誰か殺して。 「ヒック……もう、お願いします……家に帰してください……父さんと母さんに会いたい……」  何を言っても無駄だってわかってる。それでも何かを懇願せずにはいられなかった。 「イツキ……あぁ、君はなんて純粋で、愚かなんだ。大丈夫。これからはずっと僕がそばにいるからね」  答えになっていない意味の分からないことを言い、男は俺にアイマスクを付けて手錠の鎖を外すと、再びお姫様抱っこのようにして俺の体を持ち上げた。足枷は付いていなかったが、逃げ出す気力もなく、俺は男に運ばれている間もずっとメソメソと泣いていた。抵抗してもっと酷いことをされるのが怖かった。 「さぁ、着いたよ。もっと隅々まで綺麗にしようね」  どこかにうつ伏せになるように寝かされ、アイマスクを外される。両手は再び顔の前の方で繋がれていた。 「な、何……今度は……」  目に入ったのは壁に掛かったシャワーだった。一見何の変哲もないけど、よく見ればホースが異様に長い。 「ふふふ……一緒にお風呂に入る日が楽しみだったんだ。夫婦らしいだろう」  首を回して振り返ると、ちょうど男が服を脱いでいるところだった。パンツの上からでもはっきりと分かる股間の膨らみに、俺は心の底から恐怖を感じて顔を背けた。

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