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第9話

 ドサリとベッドの上に投げ落とされた。途端にバスローブがはだけて全身が露わになる。  は、恥ずかしい……。  さっきまでずっと全裸でいたのに、どうして今さらこんなことを思うのか自分でもわからなかったけど、俺はサッと前を隠した。 「あぁ、いいよ。最高だよ、イツキ。初夜は淫らに貞淑に……僕の思い描いていた通りだ」  男は引き出しからマッチを取り出してベッドの脇にある蝋燭に火をつけた。フッとマッチの火を消す仕草になぜかドキッとしてしまう。そして、男は部屋の電気を消すと、少し離れた場所に立って舐めるように俺を見つめる。 「みっ……見るなぁ……」  体を這うような不気味な視線に、耐え難いほどの羞恥心を感じる。バスローブの端をぎゅっと握りしめ縮こまって肌を隠しながらも、俺は男から目を逸らすことができなかった。 「本当に……よくここまで美しく育ってくれたね。そして僕の元に帰って来てくれてありがとう、イツキ」  ゆっくりとベッドに近づきながら、男は自分が着ていたバスローブをバサッと脱ぎ捨てた。引き締まった逞しい体に、すらりと長い手足は、まるで美術の授業で見た彫刻のようだった。1つだけ違うのは、大きすぎるチンコが天を目指してそそり勃っていること。 「さぁ、隅々までよく見せて。僕の愛しいイツキ」  視線に絡め取られてしまったかのように体は動かず、ドクンドクンと脈打つ心臓だけが唯一自由を許されていた。  男の腕が伸びてきて、俺の手に触れる。 「あっ……」  触れられた部分が熱を持ち、導かれるように俺はバスローブを手放した。 「僕だけのイツキ。これからたっぷりと時間を掛けて愛し合おう」  揺らめく蝋燭の火が照らしたのは、うっとりと微笑み、舌なめずりをする男の顔だった。

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