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第14話

「嘘だっ!そんなのあり得ない!俺のっ……俺の父さんと母さんは俺を愛していて……おっ、お前なんかに……お前の変態趣味なんかに協力するわけないだろ?!」  泣くな。泣くなよ、俺。 「そんなっ……そんなわけないっ……俺はっ……」  泣いたらまるでこいつの作り話を信じてるみたいじゃないか。 「ふふ……ふふふ……あぁ、堪らない。その涙も記念に残しておきたいくらいだよ」  男の手が伸びてきたけど、俺は精一杯力を込めてそれを払い除ける。 「触んなっ、この野郎っ……」  カタカタカタカタ……小さな音がして、鎖がベッドの四隅へと巻き取られていくことに気が付く。 「なっやめっ……やめろっ……止まれっ!そんなっ!」  俺は体を起こして必死にそれを掴んで抵抗するが、鎖は俺の手を滑り、じわじわと短くなっていく。足はズルズルとベッドの下の方に引きずられていき、左手は後ろへと引っ張られる。唯一自由な右手にできることは、左手首に嵌められた皮のベルトを引っ張ることだけ。 「外れろっ……いやだっ……俺はこんなの嫌だっ!」  呆気なく大の字に寝かされてしまったけど、それでも俺は指と手首が擦り切れるくらいにベルトを引っ張り続けていた。 「やめなさい、イツキ。僕の大切な体に傷がつくだろう」 「触るなあぁっ!誰がお前のものになるかよ!離せっ!俺はっ……俺はあぁっ……」  右手首を男に掴まれて、そこにもベルトを嵌められる。 「可哀想で、可愛いイツキ。プリンセスはこの瞬間が最も美しい。毒リンゴを食べた白雪姫は、死するその瞬間に騙され裏切られたと知ったことだろう。だからこそ、その死に顔に王子はキスを落としたんだろうね」  男は俺の体に跨ると、涙を舐め取るように顔に舌を這わせた。 「絶望は人を輝かせる。無垢な君のその顔が見たかったんだ。今まで苦労した甲斐があったよ。……さぁ、続きをしようか」

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