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第20話 くすぐり(?)

 ゆっくりと右脚を持ち上げられ、じわじわと動く脚の付け根に意識が集中してしまう。チンコの棒がずれて内臓を貫通するような想像が湧き上がるが、目を閉じ、奥歯を噛み締めて必死に耐える。 「はあっ……あっ、何っ」  くすぐったさに目を開けると、視界の端に俺の足を舐める男の姿が映った。 「やめっ……やめて……」  自然と動き出そうとする右脚を押さえたくて手が動くが、鎖に繋がれた両腕に何ができるわけでもなく、ただカチャカチャと音を立てるだけだった。  男は親指をしゃぶり、指の股に舌を這わせ、それから……。 「あああっ……あひゃっ……やめっそれっ……」  ベロっと土踏まずの辺りを舐め上げられ、思わず笑い出してしまう。そうすると腹に力が入って、ぎゅっと金属の棒を締め付ける感触がする。 「あっやっだめぇっ……やだっ……あははははっ」  頭がおかしくなる。ここで目覚めてからずっとそう思っていたけど、今が一番だ。怖いのに笑っている。気持ち悪いのに気持ちがいい。矛盾した感情が目まぐるしく押し寄せてきて、気が狂うっていうのはこういうことなのかと思えてくる。  笑い過ぎて息が苦しくて、目からは涙が零れてくる。  男はしばらくの間そうして足を舐め続けていたが、ゆっくりと上へと移動し始めた。かかと、足の甲、くるぶし、ふくらはぎ……。 「……あっ……んんっ……」  俺も少しずつ落ち着いてきたと思っていたのに、膝の裏を舐められると再びくすぐったさが下半身を襲う。 「あんっ……いやっ……えっあっだめっ」  その舌が太ももの内側を這い始めた時、ピリピリとした刺激が駆け上ってくるような奇妙な感覚に陥った。刺激は俺の太ももから、股間の方へ登る。そして、下半身の筋肉がぎゅっと収縮したかと思えば……。 「あっやだっ!アァッ……ああぁんっあっ!!」  ビクッと体が跳ね上がり、痺れるような快感が全身を支配する。小刻みに上下する肺の動きに合わせて、自分のものとは思いたくないような甘い声が漏れてしまう。 「もっやっ……何っ……今のっ……?!」 「軽く達したのかな?舐めるだけで、なんて。そんなこと一体いつ覚えたの?」  俺の顔を覗き込む男の表情は、少し怒っているようだった。 「旦那様を挑発するなんて、悪いプリンセスだ。……そんなに僕が欲しいんだね」

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