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第21話 アナル舐め
男は俺の右脚から手を離し、左脚の拘束を解いた。それから、両足首を強い力で掴んだまま持ち上げて、ゆっくり俺の体を折り曲げていく。この姿勢を取らされると、嫌なことを思い出してしまう。
「……い、やだ、これは……」
遠い昔のような――だけど本当はつい先ほどの――記憶が蘇る。肛門から何かを入れられた時のこと、それから、その後俺はトイレで……。
「いやだ、もう嫌だ。もうあんなことしたくない」
口先だけで抵抗してみても体には上手く力が入らず、俺は赤ん坊のようにされるがままだった。男は何も言わずに俺の上に跨るようにしながら、足首と膝を頭の上から伸びる鎖に繋げる。そうすると、本当に……おむつ替えをする赤ん坊みたいな姿勢になってしまった。
「長くなるからここに枕を挟んでおこうか」
腰の下に枕を敷かれるとさらに尻が高く持ち上がり、自然に開かれた割れ目を男がそっと指で撫でた。
「やっ、やめろっ」
また尻に何かをされるんだろう。そう思うと頭にカッと血が上り、怒りなのか屈辱なのか羞恥心なのか、よくわからない感情が脳を支配する。
「あぁ、本当に美しい……」
だけど、湧き上がった強い感情も、集気びんの中の蝋燭の炎のようにふっと立ち消えてしまう。
「この小さな蕾が花開く瞬間を見るのが待ち切れないよ」
男の声が余りにもうっとりとしていて、そのことが俺に抗えない現実を突き付けてくるから。
男は両手で俺の尻を揉んでいたが、やがてその中央にぐっと顔を近付けた。
「……ヒッ」
ふーっと息を吹きかけられて、くすぐったさに体が反応する。さらに、何か熱くて湿ったものが割れ目をなぞる。
「な、な、何して……」
何をされているのか、これまでの男の行動から想像はつく。だけど、今までの人生で培ってきた俺の理性や常識がそれを受け入れられずにいる。
男はそんな俺を否定するかのように、わざとピチャピチャと音を立て始めた。
「おいしいよ。イツキの体は、どこを舐めても芳ばしい味がする」
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