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よくできました 13
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珀英に・・・あんな風に・・・誘うようなこと言うのが久しぶりだった。
普段は珀英が何かと理由をつけて、オレをその気にさせて、強引にベットに引きずりこまれているからオレからこんな風に明から様に誘うことなんて、ほぼなかった。
いくら会うのが数ヶ月ぶりでも、ちょっとやりすぎたか・・・?
そんなことを考えながら、そそくさと珀英から離れてバスルームに逃げて、着ていた服を脱ぎ捨てて全裸になると、頭から熱いシャワーを浴びた。
久しぶりの自宅のバスルームは、ピカピカに磨き上げられていて、カビもないし、全身が映る鏡も水垢(あか)ひとつなく輝いていて、湯船には温かそうなお湯が湯気を立てて、適量に溜まっている。
珀英の仕事っぷりに関心しつつ、シャワーをしばらく浴びていたら、だんだん冷静になってきてしまって、今更だけどさっきの言葉を全部否定したくなってきた。
一緒にシャワーなんて・・・浴びちゃダメだろう・・・!!
珀英絶対に襲ってくるし。襲ってこないわけないし。
わかっているから今まで絶対に、一緒に風呂なんか入らなかったのに・・・何であんなこと言ったんだろう・・・?
やっぱり、珀英にさっきの無しって言ったほうがいいかも。
いや言ったほうがいい。
やっぱ無理って・・・でも・・・全然したくない訳じゃない・・・し・・・。
そりゃ久しぶりだし、淋しい思いさせたし、オレだって・・・。
でも・・・なんかオレから誘うのは違うっていうか・・・珀英から言って欲しい・・・。
やっぱり、やっぱり無しで!!
そんなことを考えていたら、バスルームのドアの磨(す)りガラスに、珀英の姿が見えた。
恐らく夕飯の片付けが終わったから、オレの誘いにのってシャワーを浴びにきたのだろう。
珀英にさっきのなしと言おうにも、全裸のままドアを開けなきゃいけないから、それはそれで結局襲われることになるのが目に見えている。
かと言ってこのままでも結果は同じで。
どうしようもできなくて、オレはシャワーを頭から浴び続けたまま、固まっていた。
磨りガラス越しの珀英は、威勢よく服を脱ぎ捨てていて、その早さにもうすぐ入ってくると思ったオレは、思わず扉に背中を向けてしまった。
やっぱり無しでって・・・言わなきゃいけないのに、言えなかった。
久しぶりだから少しでも一緒にいたいとも思うし、早くしたいとも思ってたし、だからあんなこと言ったけど・・・何だこの変な気持ち・・・。
今までこんなこと言ったことないから、妙な居心地の悪さを感じる。
珀英が今何を考えているのか、急にこんなこと言ったオレをどう思っているのか、何か妙に気になってきた。
頭からシャワーを浴びながら、強く目を瞑(つむ)って、下を向く。
熱いお湯が頭皮を髪を伝って、額や鼻筋、顎や首や胸、腰を背中を伝って足にたどり着いて、流れていく。
いつもとは違う感情の揺れ幅に、オレはずっと戸惑っていた。
こんな風に誘うつもりなんかなかったのに・・・酔ったせいかな・・・。
本当はいつも通り、ベッドに入って珀英が襲ってくるのを待つつもりだったのに。
我慢するつもりが・・・できなくなっていると、理解した。
珀英が襲ってくるのを待つような余裕なんか、とっくになくなっていることに、気づいた。
それでもあんな、あんな風に誘ってしまったことを後悔してるし。
なんかもう、頭の中がぐちゃぐちゃ。
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