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 大学に入学したばかりの一年と半年ほど前、学科の違う二人は学園祭運営委員会で初めて顔を合わせた。  寛希はアイドルや俳優にも劣らない甘いルックスで、女子の視線を全て奪っているような印象を与えていた。  まるで客寄せパンダのような、近寄らせて注目を集め、自らの仕事を他人に任せて自らは楽をする、亮介は見た目だけでそう判断していた。  実際のところ、寛希のおかげで女子の人数は増えたらしいが、ただ人が増えただけで運営が捗るとは思っていない。  先人たちはきらびやかで表面上は何もかもいいように見せてはいるが、亮介が所属した裏方ともいえる物品管理チームは、一体何がいいところなのだろうかと考えてしまうほどであった。  仕方なく、とりあえず、そんな言葉が似合いそうなほど、物品をしまっている倉庫は乱雑に散らかっていた。 「まじかよ……」  亮介からは溜め息しか出てこなかった。どこに何があるのか、きっと把握されていないだろう。実際に、使いかけの同じ消耗品が別々の場所からたくさん出てきた。複数あっても問題ないものではあるが、それにしても数が多すぎる。  潔癖ではないが、こうも散らかっている中での作業をしたくない亮介は、新人ながら物品の出し入れをスムーズにしたいと願い入れ、少しずつ整理をしていくことにした。  まだ運営委員会でも代表格の人たちしか学園祭の計画をしていない時期のため、他の人たちは基本的に親睦を深めるために戯れているだけだった。  そんな中一人で黙々と片付けていく亮介。ようやく授業のガイダンスが全て終わった頃、いつものように作業をしようと倉庫へ入ると、誰かが中にいた。  全く人が来たことないのに一体どうしたのだろうと音のする方へ近付いていくと、そこには寛希が何かを取り出していた。  いけ好かない、誰かと常に話しているだけの存在の彼が、自ら作業をしている姿に亮介は少し驚いていた。

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