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寛希の横顔を見ながら、亮介は過去のことを思い出しながら作業の片付けを終える。そして倉庫から出ようと歩き出した。
すると、何かに躓いて身体がよろけてしまった。
「いてっ」
その身体は棚へとぶつかり、上に載っていた箱が落ちるほどの衝撃を与えていた。
「危ない!」
寛希の身体が瞬時に亮介へと近付いてくる。伸ばされた腕が勢いよく亮介を押す。
だが、あまりにも力が強かったため、亮介はバランスを崩したと思い、すぐ近くにあった寛希の腕を掴んでいた。
亮介は突然寛希が近付いてきていると思うが、今にも床に身体がつきそうな状態では何もできなかった。
ドンッ──
「いっ!!」
背中激しい衝撃が走るのと同時に、激しい音がして箱の中身が散らばっていった。
「いてて……」
とっさに亮介が起き上がったそのときであった。
額に何か柔らかいものが一瞬当たった。
あまりの柔らかさに、ドキリと心臓が跳ね上がった。
こんな心地のいいもの、今まで触れたことがない。
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