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「この前はおでこだったけど……。俺は、こっちの方がよかったな」 「えっ……?」  何て言った。そう問おうとした途端、亮介の口は柔らかいもので塞がれた。  これは、寛希の唇。  そう気付いたのは、寛希の顔が離れていったときだった。  ほんの一瞬の出来事ではあるが、今さっき言おうとしていた言葉を忘れてしまうくらい、脳への衝撃は強かった。  熱を孕んだ寛希の視線がチラリと見えた。  だが、次の瞬間にはいつも通りに戻っており、寛希から距離を置いていった。

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