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学園祭まであと少しというところまで迫ってきた。準備が大詰めのため、運営委員会のメンバー全員は学校に泊まり込んで作業する。
何泊もするために詰め込んだ荷物とともに亮介は寝床で一息ついていた。
「はぁ……」
心の中には寛希のことしかなかった。
あの日キスをされ、彼の本心をはっきりと知りたくてしょうがなかった。自分自身の気持ちははっきりとはしていないけれど、少なくともキスをされたことを嫌とは全く思わない。
亮介は話し掛けようと何度か寛希に近付いていった。しかし、その全てで寛希は亮介から逃げるように去っていった。
寛希の方から行動を起こしておいて理由も言わずに避けるとは。
言葉にできない感情が亮介の中に溜まっていく。
今までずっと一緒に作業をしていたというにもかかわらず、あの日以来一緒の作業をしなかった。それが余計に亮介の心を乱していた。
一人で作業をしたことがあるが、こんなにも虚しいものだった記憶はない。
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