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「はぁ……」  溜め息しか出てこない中での作業はミスを犯しかねないと亮介は思った。  冷たい水で顔を洗って気分を入れ替えようと亮介は廊下に出た。 「金山さんありがとうございます〜」  少し離れたところで女子の声がした。彼女は寛希の名前を呼んでいた。  そこには三人ほどの女子に囲まれた寛希の姿があった。会話に夢中になっているようで、亮介の存在には気付いていない。 「これくらいなんてことないよ」  あはは、と笑っている寛希の姿に、亮介は不快感が一気にやってきた。 『倉庫の主たち』とひと括りにされてはいるものの、寛希は亮介よりも他の人たちとの会話をしている。女子に関しては誰よりも話しているだろう。  見慣れた風景のはずなのに、どうして不快にならなければいけないのか。  遠目から見ても作っている笑顔の寛希であると分かっている。  分かってはいるものの、亮介は不快を感じる理由は分からなかった。  これ以上立っていても不審な存在にしかならないと思い、亮介はその場から去っていった。

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