何を分かった気でいる、と言われても、亮介は寛希もそう思っていると確信した。 「そういうことか……」 　数日前に女子に囲まれた寛希を見たときから抱いていた不快感。その正体は嫉妬であると気付いた。 　隣にいるのは亮介だと思っていたのに、そうではなかった。たかが小さなやり取りですら不安に思っていたらしい。 「ははっ……」 　足に力が入らず、亮介はその場でしゃがみ込んだ。 　嬉しいはずなのに、なぜだか動けない。嬉しいから、身体がおかしくなってしまったのか。 　理由は分からないけれど、少なくともこの姿を誰かに見られては情けないということだけは、はっきりとしていた。 　誰かが来ないことを祈りつつ、亮介はしばらくこの場にいることにした。