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まだ学園祭は残り一日があるけれど、山場を乗り越えたという気持ちが昂ぶっており運営委員会の人々はいつになく気分が浮かれていた。
そんな中、亮介は一人表情を硬くしながら人気のない廊下を歩いていた。
嫌じゃなかったら来て。
寛希に言われたことが頭の中でずっと響いている。
嫌なわけない。そう断言できるのは心の中だけだった。自らの口で、誰かに聞かれる状態になることを考えていると、緊張が前へ前へと出てきてしまっていた。
倉庫のドアから明かりが漏れていた。寛希はすでに中にいるようだ。
深呼吸をして少しでも気分を落ち着かせる。緊張する必要はない。
静かにドアを開け、中にいるだろう寛希の姿を探しながら入っていく。一歩ずつ進んでいく毎に、胸の鼓動が速く脈打つ。
その存在を見つけたときには、全身が一瞬凍りつくような気さえした。はっきりと寛希の後ろ姿を捉えると、熱がどっと湧いてきた。自分の身体がこんなにも忙しなく変化したことなんて経験したことない。
静かに、小さな歩幅で、ゆっくりと近付いていく。
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