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ゆき
「わーーっっ!!もぅやだって!!そんなんしてもなんにも変わらないっっ」
「変わったかどうかを判断するのが私たちの仕事で、あなたは言われるとおり治療を受けるんです!いつまでも高い声のまんまというわけにもいかないでしょう?」
「いやだっっ。今日はしない」
「今日は?昨日も一昨日も聞きました。もうこれ以上は待てません」
「やだってばぁーっ」
ゆきが手を振りあげると紫藤の眼鏡に当たり
カシャン…。紫藤の眼鏡が飛び、割れた
「埒 があきませんね…」
電話を手にとる紫藤
「局長?紫藤です。やはり手がいりそう…は?」
〝すまん。こころをコックリングつけて放置したまんまなのを忘れてた〝
「あなたはどあほうですか?壊死したらどうされるんです?」
〝いやまだ数分だから大丈夫〝
「では相馬を呼びます」
〝いや佐久間のがいいな。相馬はほだされやすいから〝
「分かりました」
・
・
電話の後、2人の足音が聞こえ扉の前で止まった。
「ようやく…助っ人が来ましたか。やれやれ」
佐久間はカードキーを使い処置2の扉を開けた
部屋の中を見ると床のマットの上で紫藤とゆきが格闘していて、佐久間はその光景に顔をひきつらせた
「あの…、待たせたけど大丈夫です?」
「大丈夫ではないから呼んだまでです。眼鏡が割れました。これではいくらの私もお手上げです。本来ならこんなことはありませんが…今回は私がゆきに乗るからあなたに打ってもらいたい」
「了解、分かった」
「そこの新人さん、指示するからゆきの手を押さえてください」
「はい」
「ちょっ!やだっやだー」
「ベッドに乗せます?紫藤先輩」
「いいえ。このまま床でいいと思います」
紫藤はゆきをまたぎ、ゆきをうつ伏せに寝かせかえるとゆきの上に馬乗りになった
「新人さん、彼の手を持ってもらえますか?押さえるときは関節を掴んで動けないように。
いいですね?変な優しさを出してはいけません」
「分かりました」
「いい機会です答えて。中臀筋クラーク点を述べなさい」
「4分の1の三頭分した外側です」
「上出来。いずれ任せる時がくるかもしれないから覚えなさい」
「んじゃ行くぞ」
佐久間の声にゆきは観念して歯を食いしばった
佐久間はゆきのズボンを下ろし、消毒をし注射を突き差した
「ひぃっ!いったーいぃ。やだー」
「新人さんっ!そのまま押さえる手の力を緩めませんよ。針刺しする危険があるのできちんと針を抜いて処理が終わるまでは押さえ係はきちんと押さえること。いいですか?何度もやることになるのでしっかり覚えなさいっ」
「は、はいっ」
涙を流すゆきと目が合う
「注入します」
「う…うぅ〜っもう無理ーっ、早く終わって。こんなの毎週とか死んじゃうって」
「死なないって。ホルモンバランス崩れた方が精神病むぞ?きちんと成長できていないんだ。だから辛抱。はい、おしまいっ」
注射した部位に絆創膏を貼り針を捨てる佐久間を見て紫藤はゆきの体から降りた
「驚きましたか?新人さん。ここではこれが日常。とはいえ、あなたはこれの経験者だから分かりますよね?未羽。辞めるなら今のうちですよ?」
「紫藤先輩。指導も大事だけど、まずはゆきをほめてやんない?」
「必要ありません」
「ったくケアもしっかりしてやってくれって言ってもいっつもそんな態度なんだから」
「なんとでも言いなさい。しかし、助かりました。佐久間先生。
悪いんですが眼鏡屋に行くので後を頼みます」
壁をつたい扉に着くと紫藤は佐久間に後をたくし、カードキーを当て部屋を後にした
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