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佐久間の弱さ2
「みぃを受け持つ少し前な…俺のはじめての患者、とおるっつーんだけど…治療拒否した結果精神病んで少年棟内で死にかけたんだよ」
「は?」
「当時マックスの8人いたんだ、患者が。で、他の先生の負担軽減のためにまだ経験浅い俺が受け持ったわけだ」
「それで?」
佐久間は話を続けた
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「佐久間?そろそろひとりで受け持つか?」
「え…ちょっと自信無いな」
瀬谷局長に言われ、自信の無さにうやむやな返事をした
「紫藤の話では丁寧だし、やることはやれるからということだからまずはやってみろ。先輩たちがサポートはするから」
「分かりました」
佐久間は紫藤に連れられ、とおるの部屋へと来た
「とおる。ホルモン補充が毎週必要な子です。ちょっと治療に拒否的でして…。担当が変われば気持ちも変わるかもしれないのでこれまでは私の担当でしたが今後はあなたに任せます」
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「え?ちょい待って。紫藤先生、注射係なんじゃ…」
「あの事件の後からな。俺のミスとはいえ…先輩もかなり傷ついたらしく、それから一切ホルモン補充はさせてくれない。誰にも」
さらに佐久間は話を続けた
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「えと…佐久間。よろしく」
「…」
とおるは答えない
紫藤は佐久間の肩をトンと叩いて退室した
「ん〜…困ったな。なんか好きなこととかある?」
「何もしたくない…」
「そ…そっか」
出だしからつまずいた感があってあまり打ちとけれず試行錯誤したが日に日に返答すらなくなり数日が経過した。
そんなある日紫藤とともにいつものようにとおるの部屋へと入ると衝撃の光景が目に入った
「とおるっっ」
とおるはシーツを器用に割いて編み紐状にしたもので輪をつくり首にかけたようだ
あまりの姿に佐久間の足が動かない…
動け…動け…動けよっ、俺の足!
ひらっと佐久間の目の前で白衣が舞った
紫藤が走り、ハサミでシーツをやぶきとおるを床におろした。
「CPR!!応援呼べっ佐久間!佐久間」
紫藤の呼ぶ声が聞こえるが聞こえない…
なんでこんなことに?
「佐久間っっ」
紫藤は心臓マッサージを続け、電話を顎ではさみ応援を呼んだ
治療の甲斐ありなんとか助けたものの
「…なせて…死。にたい…」
とおるの精神は極限まで落ちた…そのままとおるは精神科へとまわされた。
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「と、いうわけで治療は大事なんだよ。あまり話すような話じゃないけどお前には教えた。俺たちはただ変態行為をしてるわけじゃないんだけどあいつらは分かってくんないから」
「なかなかショッキングですね」
「名前が似てるからなんか構えちゃってさ。泣かれようが喚かれようがやんなきゃなんないのにな」
「でも鬼ばっかじゃ、逃げ場がないから佐久間先生でよかったと思う」
「ありがとな」
佐久間は切ない表情から切り替え、にぃっと歯を出し笑みを浮かべ、未羽の頭を撫でた
「ぼくが低血糖で倒れた時だってちゃんと治療してくれたじゃん?先生は十分かっこいい!ちなみに先生はなんで医者に?」
「おまえと一緒。担当医に憧れたんだよ」
「へぇ入院したことあるんだ?」
「まあな。いつか機会があったら話してやる。たいした話じゃないけど。今は言わない」
お前ら少年棟患者の先輩だよなんて言ったらどんな反応をするだろうか?佐久間は腹の傷を服越しに撫でながら思案し、あえて言わないことにし口を閉じた
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