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紫藤のしあわせアルバム(未羽 27歳)
ゆきの治療を終え、終業を迎えた紫藤は1通の手紙を事務から受け取った。
その封を開けて、思わず紫藤から笑みがこぼれた。
うただ…
丁寧な文字で無事、赤ちゃんが産まれたこと
れみと名づけたこと、感謝の言葉とともに妻と子とともに映したしあわせそうな写真と子の写真が添えられてた。
「まったく…。弟のおともここに入院していることだし、郵送ではなく面会がてら直接届ければいいものを」
憎まれ口を叩きながら、紫藤は机からアルバムを取り出し大事そうに貼り付けていった。
10年前は3通だった患者からの手紙、写真が溜まり一冊のアルバムができあがろうとしていた
「医者冥利につきます…」
トントン…
ドアの音が聞こえ慌ててアルバムを閉じ、能面の表情を浮かべた
「はい」
「縁 帰れるか?」
「院内では名前を呼ばないでいただきたいです。佐渡局長」
「かたいな。家では琢磨 さん琢磨さんってかわいいのに」
「殴りますよ?」
「そしたらそれ以上にしてやるよ。終業だ。帰ろう。俺らの家に」
「そのうち関係がバレますよ?」
「バレたらバレただ。ははっ」
屈託のない笑みを浮かべ佐渡は笑い、
やれやれという表情をしながら紫藤は立ちあがった。
そして、2人は連れ立ち家路へと急いだ
・
・
「縁…」
佐渡は玄関に入るなり靴も脱がずに紫藤の背を抱きしめた。
「やめてください。まだ玄関ですよ?」
「待てない」
「ダメです。どうしてもというなら…寝室に」
「分かった」
佐渡は靴を脱ぎ、紫藤も靴を脱ぐと紫藤の手を握り寝室へと引っ張っていった。
佐渡は寝室へ入るとすぐさま紫藤を押し倒し、紫藤のシャツを首までまくりあげた。
その皮膚にうつる無数の赤い痕を佐渡は触る
「ここ、大丈夫か?」
「大丈夫です」
「縁?今日はどうやってゆきを泣かせた?」
「いつもどおりに怖がらせて痛がらせて泣かせてしまいました。罰していただけますか?」
「分かった。今日はどうしたい?何を使いたい?リクエストを」
「ムチを…うんと痛くして……」
佐渡は紫藤を一糸まとわぬ姿にし、見据えた
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